前作のシングル『星に願いを』は、バンドにとって本当の始まりだった。“花になれ”での大々的なタイアップに彩られた華々しいデビューと20万枚のセールスを達成したミニ・アルバムは、船出としては予想以上の成功だっただろう。しかしそうだからこそ余計に、彼らは自らの真価を証明する必要があった。それがプロの作家提供ではなく、メンバー自ら作詞・作曲を手掛けた前シングルだった。
彼らにとっては初の両A面シングルとなる今作も、その野心が漲る一枚である。特に映画『MW ‐ムウ‐』の主題歌となる“MW〜Dear Mr.&Mrs.ピカレスク”はこれまでの彼らとは一味違うダークなロマンティシズムを感じさせる一曲。《強く抱きしめて 壊したい君を/粉々になるまで 愛してしまえば》という歌詞がとても印象的だ。爽やかなメロディを持つ「いい歌」が大きな武器になってきた彼らだけれど、「どっか迷いながら走ってる感はあるかもしれない」と語る彼らにとっては、ひょっとしたらこちらのほうが本来の姿に近いのかもしれない。彼らの快進撃はまだまだこれからなのだと思う。(柴那典)