世界の説得力

People In The Box『Ghost Apple』
2009年10月14日発売
ALBUM
People In The Box Ghost Apple
ロック・バンドがその音で「世界」を表現することは、実はそう難しいことではない。それこそ四畳半の自宅で書き綴ったありきたりな日常も、退屈な毎日を打破する(と思い込んでいる)歪んだギター・サウンドも、それはそれで、そいつにとっての「世界」なのだから否定のしようがない。要はその「世界」に説得力を持たせることが重要なのであって、はい、僕らのロックには「世界」があります、だけでは話にならないのだ。

メジャー移籍後初リリースとなる今作で、彼らは自分たちが歌う「世界」へ説得力を付与することに成功した。収録7曲にそれぞれ一週間の曜日をつけることで進んでいく戦慄の物語。もちろんそこには瞬時に感情移入が可能な「あるある」的日常は全く描かれない。《うごめく前頭葉》があり、《モナリザはベッドで泡を吹いている》のであり、そして《バスタブが世界を蹂躙する》わけである。しかしこの非日常が、聴くものの「世界」と見事にシンクロするのは、何よりもこのバンドが鳴らす音の狂気が、高い強度と濃度で我々を包み込むからである。そして再び「世界」は開かれる。(徳山弘基)
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