柔らかな衝撃

キッド・カディ『マン・オン・ザ・ムーン:ザ・エンド・オブ・デイ』
2009年11月25日発売
ALBUM
キッド・カディ マン・オン・ザ・ムーン:ザ・エンド・オブ・デイ
米本国では初登場4位を記録した、カニエのレーベル、グッド・ミュージックからの新人キッド・カディのデビューアルバム。カニエ作品での客演で既にレールは敷かれていたとはいえ、カディのように明確に新しいスタイルを打ち出せる表現者がオーバーグラウンドで大きなチャート・アクションを起こすと、シーンは俄然面白くなる。ガンガン行って欲しい。

その浮遊感のあるエレクトロニック・サウンドと、歌うようにメロディアスなラップ。カニエが『808'S&ハートブレイク』で目指していたものは本当はこれだったんだろうなという気がするし、同作でカディ登場のための布石が成されていたと考えると、プロデューサー/ビジネスマンとしてのカニエの手腕も相当凄いな、と考えざるを得ない。カディはオートチューンでお茶を濁す必要のない独特の声質を持っているし、シーンにインパクトをもたらすだけのソングライターでもあるということを、カニエは最初から計算に入れていたのだ。本作ではラタタットやMGMTといった他ジャンルとのコラボも果たしたシングルも収めている。今後のカディはレディー・ガガのツアーに帯同する模様。(小池宏和)
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