元々、ゴリラズはコンセプチュアルな組織体だが、本作はただの悪戯を超えて、明確なコンセプト・アルバムになっている。地球上のどの大陸、どの土地からも離れて浮かぶ、地球上で最も見放された島、プラスティック・ビーチ。ここにデーモンは環境問題と仮想社会というダブル・ミーニングをゆだねるのだが、現実世界での敗北をあっさりと認め、仮想空間への逃走こそが最早現実を凌駕している現状を奨励する。それは音楽的なコンセプトとも繋がっている。昨今のセグメント化された音楽の大博覧界をここではやってみせるのだ。グライム、ダブステップ、ネオ・サイケデリア、これらを浜辺に辿り着いたゴミに見立てながら、ド派手なパーティーを作り出してみせる。アルバムは奇妙な浮遊感を抱えながら幕を閉じる。
前作の“フィール・グッド・インク”ほど、わっかりやすい曲はないが、音楽的な総合力は今作のほうが上。これも2010年。(古川琢也)