アーティスト

    絶望のその先へ行け

    真空ホロウ『contradiction of the green forest』
    2010年04月07日発売
    MINI ALBUM
    真空ホロウ contradiction of the green forest
    なにもかも終わってしまった合図の鐘の音が、ギターのコードとなって鳴り響く“終幕のパレード”から、《未来など何処にあるのですか?》と甘美な絶望に身をよじる“蘇生のガーデン”まで全7曲。茨城県出身の新人3ピース・真空ホロウが鳴らすのは、もう取り返しのつかない後悔や、決して届くことのない想いが霧のように充満する世界の中で、それでも鳴らすべき音楽とは何か?という問いに答えようとするロックである。美しいハイトーン・ボイスのVo・G松本明人が奏でる、ギターの青々しい調べ。そして純真さへの憧れと、穢れた自分や世界への嫌悪が渦巻くような歌詞。そこから退廃への強烈な引力が放たれているようでいて、楽曲そのものは耽美感へズブズブとは沈まない。それは、リズム隊ふたりの力強いグルーヴが、逆方向のベクトルに思い切り作用しているからだ。曲ごとのスケールの壮大さと、アンサンブルに宿った独特の緊張感は、この内部構造から生まれているのだろう。空気のないところを歩くというバンド名さながらに、きっと、どんどん新しい領域を切り開いていける注目株の登場だ。(松村耕太朗)
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