ホールやスマパンでベーシストを務めたことで知られるメリッサ・オフ・ダ・マーの、7年ぶり2作目となるソロ・アルバム。偶然にもホールの新作と同時期になったが、アルバム自体は3年前にほぼ完成していたそうで、その後ショートフィルムやコミックも制作されて、マルチメディアな複合アート作品としてようやく実を結んだのが本作なのだ。ブラック・サバスのカバー・バンドでリード・ボーカルをとるなど、ミュージシャンとしても多才なメリッサは、6歳からずっとアートスクールで学んでビジュアル/コンセプチュアル・アーティストの道を歩んできた人でもあり、本作で遂にその才能がフルに開花したと言える。アート作品の一部となるコンセプト・アルバムと聞いて身構えたけれど、小難しさや聴きづらさは全くなくて、腕を広げて迎え入れ、大きく包み込むような温かみのあるサウンドだ。ときにミステリアスに、ときにキュートに響くボーカルも心地好い。必聴はグレン・ダンジグがゲスト・ボーカルで参加した“ファーザーズ・グレイヴ”の渋すぎるデュエット。二人の歌声の掛け合いにゾクゾクさせられます。(網田有紀子)