2ndアルバム『クオリア』以来2年半ぶり。レーベルを移籍したジンが、ミニ・アルバム『エンジン』をリリースする。《笑ったって　泣いたって　人生は一度きり》《悔いは残すな　立ち向かえ！》と歌う“独走歌”など、今作でも自分が進みたいと願う道は、傷だらけになっても自分の手で切り開いていこうとする、ジンらしい闘志に燃える曲がある。あるいは、器用には感情を表現できなかったり、少しずつうまくいかなくて歯がゆさに涙をこぼしてしまう主人公たちが登場する。恋愛関係でも、心を与えあうよりも、求めすぎてしまったり、考えすぎて空回りもする。そんな歌の中の彼らに、じれったさを感じて腹を立てたり、時に疎ましい思いもする。きっとどこかに自分自身が映っているからなんだろう。ジンの歌は、聴き重ねるほどにぐんぐんと胸に浸透していく。同時に自分自身も愛せるようになっていく。その思いが今回より強くなった。作品の最後に“OPTIMIST”という曲がある。こんな僕らでも楽観的になれる日がくるかも、とカラっと疾走感のあるロックンロールで歌いあげてくれるのが嬉しい。（吉羽さおり）