現代日本で求められるロマンの形

Superfly『Wildflower & Cover Songs : Complete Best 'TRACK 3'』
2010年09月01日発売
ALBUM
Superfly Wildflower & Cover Songs : Complete Best 'TRACK 3'
Superflyの10作目となるシングル、と紹介すれば良いのだろうか。これまでのシングルに収録されていたカバー曲を網羅するアルバムとセットになっている。で、収録曲のうちオリジナルの新曲4曲+カバー2曲にはタイアップが付くという、余りにもトピックが多過ぎる作品なのである。さて一体何の話からすれば良いのやら。まず、オリジナルの新曲4曲はどれもロック色の強い楽曲になっている。とりわけマイナー・コードの進行から、グッ、グッと大地に深く根を伸ばし空に枝葉を広げるように力強く展開する表題曲は、独特のタフな生命力を感じさせるナンバーで印象深い。

そして新録カバー3曲を含むカバーアルバム。60~70年代のロック/ソウル名曲ばかりを堂々歌いこなしてゆく一人ロック・フェス状態の内容になっている。ロックのポピュラリティが拡大し、巨大な屋外ステージが求められた時代の必然と、現代日本で越智志帆が自らこの声を選び、歌うという時代の必然が時間空間を越えて結ばれ、途方もないロマンが描き出される。今年のフジ・ロックで観た彼女もまさにそれだった。(小池宏和)
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