シングルのカップリング曲／スプリット盤にしか入ってなかった曲／過去アルバム初回盤のみに収録されていた曲／メジャー・デビュー寸前にリリースされていた曲まで網羅し、さらに初回限定盤にはコラボ＆トリビュート曲までごっそり「ビークル在りし日のREST＝残り物」をコンパイルした閉店セール的お買い得感が逆にセンチメンタリズムを喚起させる今作。だが、何よりその切なさを加速するのはDVDシングル曲“Situation”のロックとポップの堂々真っ向体現っぷりであり、未発表楽曲3曲の無垢な衝動ぶん回しっぷりであり、そして――9月4日正真正銘ラスト・スタンドの最後を飾った新曲“Give It Up”の全身火花散らしまくりの鋼鉄カラフル・パンクっぷりだ。その曲名とか《自分を変えたいんだ／躊躇する理由なんて／どこにもないし》（訳詞）という言葉で自らの幕引きを感じさせつつ、その真意は《Never Give it up!》だったり《次のチャンスを狙うのさ》（訳詞）とぬけぬけと言ってみせたり、最後の最後までロック愉快犯としての役割を全うしてみせるあたり、ヒダカの珠玉のダンディズムが光っている。（高橋智樹）