自ら発足させた＜SUPER ECHO LABEL＞からリリースされる初のアルバム。既に配信やレンタルという形で収録曲の幾つかが発表されているが、バージョン違いの楽曲を含めるなどユニークな形でこのアルバムを差し出すスタイルは面白い。消費者に対して様々な選択肢を提示しているわけだ。さっそくインディーズならではの軽やかな活動をスタートさせていることが分かる。そして作品の内容はと言うと、トータルで聴いてようやくORANGE RANGEだ、と腑に落ちるような、一筋縄ではいかない多様性に富んだアルバムに仕上がっている。

ラウドでアッパーなギター・サウンドを叩き付ける曲もある。カリビアンな曲調で熱く踊る曲もある。でも、先行してリリースされていたレンジ流のスリラー・チューン“ウトゥルサヌ”やオープニングを飾る“ヤーヤーヤー”など、一癖も二癖もあるレンジ独特の視界を描き出した楽曲の存在感も効果的に配置され、アルバムの世界が濃くなっているのだ。ポップ・ソングの可能性を辛辣な口調で押し広げる“さくら”も痛快。さて長期ツアーはどうなるか？（小池宏和）