表題曲“ねぇ”は、Perfumeのシングル曲群のなかでも一、二位を争うフェミニンな曲である。退屈な一日が経過する前に、早起きをして、彼氏にデートの催促をすることで先手を打つという、あらゆる日本国女子が試みる行動パターンをストレートに歌ったナンバー。歌詞がとにかくシンプルなことにも驚いた。ただ、彼女たちを表現する際、頻繁に用いられるテクノ・ポップ・ユニットとしての「攻撃性」は、少し影を潜めているのでは――そんなことを考えていた矢先、《信号が青に変われば/あとはこの先に/まってるのは 広い海》というワン・フレーズに、はっとさせられた。実はこれ、PerfumeがPerfume自身を歌った曲なのだ。一見コマーシャルな「乙女心ソング」を装いながら、Perfumeの10年、そしてその先に待ち構えている未来を祝福した曲なのである。当然、ここで言う「デート」とは、Perfumeとリスナーの強固な「絆」そのものを表している。今や絶大なる支持を背景に、アーティストとしての「普遍性」をも獲得した、どこまでもメモリアルな一曲。ドームで歌われたら間違いなく泣く。(徳山弘基)