年明けの武道館ライブも発表され、ここ日本でもその人気を確かなものにしているテイラー・スウィフト。ロック・ファンにとってはまだ身近な存在ではないと思うが、彼女が歌うのが子供だましのティーン・ポップだと思ったら大間違いだ。この3作目は、そのことをはっきりと、しかし気負いなく伝える記念碑的なアルバム。1stシングル“マイン”に代表されるカントリー・テイストの楽曲と、“ザ・ストーリー・オブ・アス”といったロック・ナンバーが見事なバランスで収められており、サウンドはこれまでと変わらない普遍的な魅力に満ちている。ポップ・シンガーとして彼女が抜きん出ているのは、失われた喜びや幸せ、その一瞬の輝きを描く才能と勇気だ。言葉の選び方こそシンプルだが、感情を爆発させず瑞々しい可愛らしさを失わないボーカリゼイションがいかに力強いものか。テイラーは今回、「今まで言えなかったことを今、言ってみる」というコンセプトでこのアルバムをひとりで書き上げた。リアルな(そして意外なほど過激な)体験がそっとファンタジーへと変わっていくような、現代のシンデレラ=テイラーらしい稀有なアルバムだ。(羽鳥麻美)