旅を続けるということ

NICO Touches the Walls『PASSENGER』
NICO Touches the Walls PASSENGER
今ではかなり状況は変わっているが、デビューして間もない頃のライブに行ったとき、客の「男率」が予想以上に低かったことを覚えている。NICOのロマンチシズムやセンチメンタリズムは、男性ロックファンの琴線を絶対に刺激すると思っていた自分にとって、その光景はかなり意外だった。ロックをジェンダーで線引きする気など全く無いが、NICOはもっと男にも支持されていい。もちろん彼らの佇まいは「マッチョ」や「漢(おとこ)」といった高圧的な要素とは無縁である。にも拘わらず、自分が強烈に「男っぽさ」を感じてしまうのは、彼らのロックが常に「旅」を志向しているからだ。そしてこの新作は、そんなNICOの旅におけるひとつの到達点であり、目的地でもある。ただし、どんどんブルージーになるメロディも、そしてますますタイトになったビートも、すべてが点に停滞することなく、縦横無尽に空間の中を動き回っている。全曲を聴き終えると、さながらロードムービーを観ているような感覚になるから不思議だ。「パッションとメッセージを届ける人」という彼らの造語=PASSENGERは、NICOの佇まいそのもの。文句なしの最高傑作。(徳山弘基)
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