この2月には東名阪ツアーを敢行、2年半のブランクなどどこ吹く風とばかりの爆裂ポップ・パンクぶりを見せつけてくれたイエローカード。そんな彼らの、200万枚を売り上げたメジャー・デビューALにして出世作＝『オーシャン・アヴェニュー』以降のキャピトル在籍時代のアルバム3作から選曲した日本独自企画のベスト盤が今作。『オーシャン～』の“ウェイ・アウェイ”“オンリー・ワン”などのシングル曲を含みつつ、“ザ・テイクダウン”“ファイティング”“シュリンク・ザ・ワールド”という『ペイパー・ウォールズ』の流れから始まる、3rd期のライヴを目の当たりにしているようなスリリングな1枚だ。本誌前号のインタヴューで「レーベルとの関係、バンド内の関係を見直す時間が必要だった」とショーンは休止の理由を語っていたが、そのパンク×バイオリンというフォーマットに象徴されるように、音においてもビジネスにおいてもぎりぎりのバランスで成り立っていたバンドの成功に、最も怯えていたのは他ならぬメンバー自身だろう。彼らが確かな自信と盤石の環境を手に入れた今こそ振り返ることができる、「第１期」の集大成。(高橋智樹)