──本当に一瞬たりとも目が離せない、2時間の中にDIALOGUE+のすべての力が注ぎ込まれたライブでした。1年前にLINE CUBE SHIBUYAでライブを行うことを告知して、その「約束」の場所でついに満員御礼のライブが行われて。当日はどんな気持ちでした?村上 満員の会場を見た瞬間に、緊張というより、ここに来てくれたみんなに「楽しかった!」と思わせなきゃという責任を感じて。でも今回のライブに向けては、通しで行うリハーサルを何度も重ねたので、あんなにやったんだから絶対に大丈夫だという根拠のある自信を持って臨むことができましたね。──この1年でのパフォーマンスのアップデートは凄まじいものがあったと思います。村上 必ず成長したDIALOGUE+を見せなければという背水の陣みたいな気持ちもあって。1年かけて達成するメモリアルなライブだから、その分期待値も高いし、どんどんハードルが上がっていくような感覚でした。緒方 でも下手するとここで燃え尽きちゃうぞというのもあって、ここで全部を出し切って終わりではなくて、次もDIALOGUE+のライブに行きたいと思わせるものにしたいと思って挑んだライブでした。飯塚 とにかくLINE CUBE SHIBUYAまでの1年、みんなで宣伝して完売できるように頑張ってきました。売れ行きの動向を自分たちでも意識するようにもなって、たとえばSNSで何かの映像を出したあとにチケットが何枚売れたかとか、このライブをやったあとにどれくらいチケットを買ってもらえたかとか、事実ベースの数字を追うようになりました。明確に「今日私たちがこのパフォーマンスをしたから、次のライブにも期待してもらえたんだな」と思えるときもあって、それは嬉しかったですね。──それはどのタイミングのライブが顕著でしたか?飯塚 「DIALOGUE+Festa!!」(DIALOGUE+主催の音楽フェス)のときですね。そのときに売れ行きが伸びたという実感がすごくありました。「Festa!!」自体も新しいライブの形で、出演するほかのアーティストさんにも負けられない!っていうドキドキがあって。それで伸びたのは嬉しかったですね。──そんな1年の集大成としてのライブ。ほんとに素晴らしかったです。緒方 当日、私は会場にすごく早く着いてしまって(笑)。まだ入れない時間だったので、会場が見えるスタバで1時間くらい、その景色を眺めていました。そしたらちょうど会場を掃除している方の姿が窓越しに見えたんです。それを見たときに、ああ、この日を迎えるまでに本当にたくさんの方が、私たちのライブに関わってくれているんだなと思えて。もちろん音響さんも照明さんも、ほかにもたくさんのスタッフさんが、私たちが見ていないところでも万全の環境づくりをしてくれている。そう思ったら緊張するというより、この「ありがとう」の思いをライブで返さなきゃという気持ちになりました。──終わってみれば本編22曲にアンコールで2曲。あらためて思い返しても、観ているこちらもともに駆け抜けていくような、すごいセトリでした。緒方 これファンの人が浴びたら泣いちゃうよねって、みんなで話してたよね。セトリをもらったときの第一声は「こりゃ泣いちゃうね」って。村上 稗田(寧々)さんとも話してたんですけど「これ客席で観たいねえ」って。最初の頃は「こんなセトリ、疲労困憊でできないよー」って言ってたんですけど、いつしか「うちらはどうせできるもんね」っていう気持ちになってました。最初は「やばい!」と思っても、「結局今までできなかったことないじゃん」って。みんながポジティブ集団になっていって。──ポジティブ集団になっていったのは、何かきっかけがあったんですか?村上 たぶん、7人用にライブの動きを変更したときかな(※現在、宮原颯希が学業に専念するためライブ活動を休止している)。今まで何年も積み重ねてきたことを全部一度入れ替えなきゃいけなくなって、短い期間の中で新しい振りを覚えて立ち位置も変わって、みんな「できないよ」って弱音を吐く時期があったんですね。そのときにダンスの沢口かなみ先生が、「大変なのはわかっているけど、それでもみんなにやってほしいと思っているから、ネガティブなことは口に出さないほうがいい」と、注意というよりアドバイスをいただいて。ああ、そうだ。うちらが今ネガティブな言葉を吐いたところで何も変わらないよなと思ったのがきっかけでしたね。緒方 それこそ、そのあと7人でごはんに行く「涙のしゃぶ葉会」っていうのがあって(笑)。──「しゃぶ葉会」!村上 はい。6人席に7人座って(笑)。緒方 それぞれ、今どんな気持ちかとか、今後どういう姿を見せていきたいかということをちゃんと話し合ったときに、今回宮原さんがいないのは寂しいけど、私たちが寂しそうな顔をしていたら、観ているログっ子はもっと悲しくなっちゃう。だから私たちだけは絶対に前向きに、7人でも力強いパフォーマンスができるんだということを見せていかなきゃねって、その気持ちを確認し合うような会でした。そこから強くなっていったなあって思います。背水の陣みたいな気持ちもあって。1年かけて達成するメモリアルなライブだから、その分期待値も高いし、どんどんハードルが上がっていくような感覚だった(村上)
──田淵さんはプロデューサーとして、このLINE CUBE SHIBUYAでのライブはどんな位置づけのものだと考えていましたか?田淵 歌と踊りを全力でやらないのなら俺はプロデュースはしないというのは以前から言っているんですけど、「私たちはどこを目指すのか」みたいなことは、どうしても本人たちも聞きたがるし、ファンも知りたいですよね。ただ、僕にはそういう目標みたいなものってあまりなくて、まだ現実的ではない「武道館」と口にするのも違うし、武道館に行くんだったらもっと段階を踏まないといけない。目の前のことを一生懸命やったときに、次のチケットをお客さんが買ってくれるし、何かひとついい音源が出たときに、次のライブに行ってみようと思ってもらえる。結局、この小さな繰り返しでしかなくて、実際にやるべきことはミニマムだというのが僕の音楽のやり方であり、人生の進め方。それに照らし合わせると、DIALOGUE+の1年のストーリーとしてLINE CUBEはちょうどいい会場だと思えたんです。そこを目指しましょうと。普通なら3ヶ月前くらい、早くても半年前に発表というのが通常だと思うんですけど、1年前に発表することでファンに本気度を見せたいと思いました。メンバー全員が「来てくれ」という本気を見せること。それでLINE CUBEを売り切ることを目標として設定しました。最後の1ヶ月は手売りでもなんでもやって、死ぬ気で売り切るイメージでしたけど、ちゃんと完売してくれたのでよかったです。──メンバーが能動的に発信したり動いたりしたことで、目標が達成されたんですね。田淵 僕はお客さんと長く一緒に歳を取っていくユニットが好きなんです。就職したり結婚したり、地方に転勤になったり、それぞれにライフステージが変わったとしても、それでもライブには行きたいなと思ってくれる人をどれだけ作れるかということを常々考えていて。そのストーリーをメンバーにも共有してほしかった。ライブが決まって、ただ歌うというのではなく、自分たち自身がそういうストーリーを作っていくんだという意識を持つことで、彼女たちがどれくらい成長するのかを見てみたかったし、自分は人生賭けてやっているので、僕もメンバーの本気度を知りたかったんですよね。村上 いつも田淵さんには「歌と踊りに全力であれ」ということを言われていて、そのDIALOGUE+の大義を確認するたびに、私たちもより本気で取り組むようになっていきました。緒方 田淵さんは定期的に「田淵通信」というメッセージをメンバーに送ってくださるんです。毎回「次回のライブの課題」を文章にしてくださって。今回は特に「セトリが長くても絶対に飽きさせない」と、明確に具体的な目標が記されていて、それに加えて、メンバーそれぞれに向けての課題も書いてくれていたんです。私が受け取った課題は「緒方は強い!」という言葉で、「強さとは」ということをずっと考えていた数ヶ月でした。田淵 緒方は、パフォーマンスにおいて「人に見られる」ということに対しての意識が強くて、でもどこか「限界はこれくらいかな」と無意識に考える癖があるなと思ったんですよね。でもお金をもらってエンターテインメントとして見せる以上、人間を超えなきゃいけない瞬間がある。なので、もう1段超えられるでしょうと。冷笑文化みたいなものにも通ずるんですけど、「ボーダーってこれくらいですよね」っていうのが、チームの目標設定として見えてきてしまうと、みんな飽きてしまう。だから「こんな何曲も連続で歌えないでしょう」とか「どこで息継ぎするんだよ」みたいなことでも、「これやり切ったら超かっこいいですよ」っていうことを、僕は言わなきゃいけないなと思っていて。「人間を超える瞬間をどれだけ作れるか」っていうのは、僕が単純に音楽に期待するところでもあるので、そこに緒方の意識が向けば、チームの顔つきも変わってくるはずだという期待がありました。彼女たちがどれくらい成長するのかを見てみたかったし、自分は人生賭けてやっているので、僕もメンバーの本気度を知りたかった(田淵)
──まさに限界を超えた瞬間を見たようなセトリでした。飯塚 田淵さんって、前に「100%のセトリは作らない」みたいなこと言ってませんでした?村上 言ってたよね。「お腹いっぱいにはさせない」って。飯塚 でも今回って全然腹八分目じゃないよね?緒方 私も思った! 九分目以上だよ。田淵 ていうかマックスだよね(笑)。「ここを目指す」と言ったからには、すごいものを見せなきゃいけないという使命感みたいなものがあったのは間違いないです。期待させたからにはそれを超えていくものをやらないと。でも毎回100%である必要はなくて。個人的には余計なものが多ければ多いほど飽きてくるし、そうしたら次のチケットを買わなくなると思うので、それをどう防ぐかというのも勝負だと思っています。ただ今回のLINE CUBEは1年かけて満員にすると言ったからには、想像を超えるすごいものを作らなきゃいけないと。なので一旦マックスで曲を並べてみたら、通したときの楽曲の時間がトータルで1時間40分だったんです。それならギリだなと。もともと自分は90分を超えるライブは好きじゃないので、1時間30分は切りたいと思いつつも、メモリアルなライブなら、1時間40分でやってみてもいいかと。そのかわりこの1時間40分を絶対に飽きさせてはいけない。で、曲間の時間はどうするか、そのとき照明は点いていたほうがいいのか、消えていたほうがいいのか。MCの時間はどれくらいか。ちょっとでも飽きられる可能性をつぶしていく作業を通しリハでやっていきました。そのうえで、客席からアンコールが起こったら「やっていいよ」とは言っていたので、アンコールで2曲。それでトータル1時間50分。それならセーフかなと。だからマックスで並べたセトリを俺の中でOKにしました。