転がり続ける物語。すぐにツアーも

Nothing's Carved In Stone『echo』
Nothing's Carved In Stone echo
NCIS、早くも3作目となるフルアルバムである。彼らはバンドを生き存えさせる、ということにほとんど無頓着であるように見える。無論、メンバーそれぞれがキャリアを重ね志の高い活動を経てきた人たちなので、職業音楽家であることを軽んじているわけではないだろう。しかし、表現衝動の描き方/響かせ方が、それ自体を持続させるという方向性から大きく逸れてしまっている。出会い頭に飛び散る火花を物語化して捉えるような楽曲の数々。作品発表を重ねるごとに、その手応えは深まるばかりなのである。
 
孤独と摩擦との間でもがきながら常に光の射す方へと彷徨い続ける、動物的な本能行動に近い村松拓の歌の世界はまったく落ち着く気配を見せないし、コールタールの大海原を駆けてゆくようなバンドのアンサンブルは激しさを増す一方だ。「落ち着きたいけど落ち着けない」、そんな業が音を、声をより強靭にし、結束させる。NCISが初めから豪華面子によるお遊びセッションなどではなく、傷だらけのライフ・ストーリーとして機能していたのは、彼らがその生き様を歌に編み上げてきたからだ。(小池宏和)
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