ガレージ・ロックな出自からはみ出し、妙な方向にどんどん枝を伸ばしているテキサス出身のバンド。そのバイタリティに胸が高鳴るのは、パンク、ハード・ロック、ジャズと様々なアイデアを詰め込んだ彼らの変拍子多用なサウンドに、グレイトフル・デッドを支柱とするアメリカン・ロックの雑食性を感じるからだ。
セカンド・ギタリストを加えての3作目(自主制作コンピは除く)となる本作は、クリーム、ジミヘン、ミニットメンに至る名パワー・トリオの歴史を凝縮したごとき前作での腕っぷしを維持しつつ、フュージョンとプログレ(=インスト曲に顕著なジョン・マクラフリン味+一番良かった頃のイエス)、サイケ・ポップ(=『ミラージュ』期ミート・パペッツ)までモノにしていて、ごっつご機嫌――と書きつつ、筆者のようなオタクがよだれを垂らして褒めてしまうと、かえって「小難しい」と敬遠されてしまうのかな?という不安も。ただ、アニマル・コレクティヴやバトルスのように(本質は)オタクな連中が受け入れられた今、USインディ・ポップの心地よい安全圏に留まらない彼らの貪欲さはもっと聴かれていいと思う。(坂本麻里子)
マニア占有はもったいない
ホワイト・デニム『ディー』
2011年07月27日発売
2011年07月27日発売
ALBUM