Coccoの魂

Cocco『ザ・ベスト盤』
2011年08月15日発売
ALBUM
Cocco ザ・ベスト盤
Coccoの歌は、その一曲一曲が遺書であり、最強のラブレターである。魂が剥き出しになった、ものすごい切迫感がある。けれども、人が人に向けて歌うということは究極的にはそうあるべきなのではないか? 台所で口ずさむ、あるいは子守唄のような歌も必要だけど、ポップ・ミュージックの本質とはそういうものなのではないか? 《まだ間に合うわ今なら/まだ戻れるわ急いで》――戦慄のデビューシングル“カウントダウン”で始まる2枚組全28曲、15周年に向けたベスト盤を聴いて改めて思った。

神懸った才能と、人間だけが持つ深く入り組んだ感情、獣じみた血と肉の感覚が音全体から噴き出してくる。自らが生み落とした歌の中で彼女は、過ちを犯した恋人と闘い、女性性と闘い、沖縄と闘い、その怖ろしいほどの才能と闘ってきた。「何も変わらなかった」と本人は口にする。だがその闘争はあまりにも美しく、官能的で、生々しい生の痛みと喜びを我々に刻みつける。歌ってくれてありがとう、Cocco! 聴いた人は絶対そう叫びその細い身体を抱きしめたくなる、珠玉の名曲集だ。(井上貴子)
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