アーティスト

    最もパーソナルなジ・オーブ

    ジ・オーブ『C BATTER C』
    2011年11月09日発売
    ALBUM
    ジ・オーブ C BATTER C
    ジ・オーブ版のアンビエント~プログレ現在地更新というニュアンスが強かった前作『メタリック・スフィアーズ』から約1年。新作『C BATTER C』は17分間のアート・フィルム作品『Battersea Bunches』のサントラである。撮ったのは映像作家のマイク・コールズで、キリング・ジョーク結成時のヴィジュアルを担当するなど、過去に彼らのローディーだったメンバーのアレックス・パターソンとは関係が深い人。映像作品はアレックスの叔父が撮っていた1956年のホームヴィデオを基にしたもので、バターシー発電所の近くで遊ぶ幼いアレックスの兄弟やいとこの映像に、廃墟になった現在の映像がカットバックする。つまりテーマは「記憶」そのものであり、その極めて個人的な繊細さに寄り添うように、彼らはアンビエントなサウンドスケープをゆっくりと変化させていく。その不確かさを孕んだノスタルジアは、どこまでも物悲しく美しい。アルバムにはガウディ、ノクターナル・サンシャインなど、ダブステップ/エレクトロニカ陣営から気鋭のリミックス7曲も収録。フロア的な実用性としては、こちらもかなり面白い。(松村耕太朗)
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