ニュージーランドのチャートを席巻したフォーク・ユニットのデビュー・アルバムが本作。もともとはユニットの中心的存在であるデイヴ・バクスターのファースト・ソロ・シングル“ラヴ・ラヴ・ラヴ~世界のあいことば”から始まったユニットで、セカンド・シングル“エンズ・イン・ジ・オーシャン/オー・ライフ”を経てこのファースト・アルバムを制作していく過程で、デイヴが招集したミュージシャンによってソロからアバランチ・シティというユニットへと発展していったようだ。内容的には基本はフォークということになるが、明らかにバンドになった後とソロとして書かれた曲のめりはりが特徴的。デイヴ的にもこの作品には大きな表現の変遷が記録されているはずで、素朴な弾き語りフォークと静謐ながらも大きな拡がりを持つバンド・サウンドを聴かせる楽曲が同時に混在しているのがこの作品の最も大きな魅力。そうした意味では“ドライヴ・オン”や“ラヴ・ドント・リーヴ”“ザ・サイレンス”“スノー”などの楽曲で聴かれる平穏なバンド・サウンドがおそらくこのユニットの行く先を占う楽曲となっているのだろう。(高見展)