柳の繊細の中にある強さ

ファイスト『メタルズ』
ファイスト メタルズ
某デジタル・ミュージック・プレイヤーのCM音楽に起用され、グローバル・ヒットを記録すると共にファイストの名を広く知らしめることになった“1234”収録の前作から、実に4年ぶりの新作。グラミーも無視できなかったその耳に残る愛くるしいフック、および印象的なヴィデオの数々――ビョークの無邪気とエキセントリシティを適度に中和した、とも言えるが――である程度固まった彼女のガーリィでヒップなパブリック・イメージから、しかし本作はしたたかに身をかわしてみせる。
 
フェミニンで清廉な歌声はもちろん、訴求力のあるメロディ・メイキングの才も健在。『リマインダー』以前から彼女の作品に親しんできた人間には、フランソワーズ・アルディにも通じる本作のほろ苦い悟りや洞察に富んだ歌詞も、さほど驚きではないと思う。しかし、ホーンや多声コーラス、パーカッション、ギターを中心に空間を大きく残し、動きに満ちた野心的な楽曲(M1、M5、M9等)は、端整な音世界に留まるのを良しとしないアーティストとしての性を感じさせ頼もしい。「メタルズ」というタイトルは、彼女の硬質な意思のメタファーかもしれない。(坂本麻里子)性=さが
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