この一枚は覚めぬ夢のよう

東京事変『東京コレクション』
2012年02月15日発売
ALBUM
東京事変 東京コレクション
これまでの名演から14曲を選りすぐったライヴベスト盤。新曲“三十二歳の別れ”は東京事変ならではの端正かつドラマティックな1曲だが、言葉の一片一片や、おわりに向かって時を刻むような鍵盤の音、終盤のたおやかなギターソロの調べなどが、バンドの解散を知った今の心には余りにせつなく響く……。とはいえ、感傷を置いて本作と向き合えば、東京事変がポップミュージックのフィールドでいかに高度な挑戦を繰り返し、音楽的豊潤を達成してきたか改めてわかる。豪華な舞台演出の粋を極めた一昨年の「ウルトラC」と昨年の「Discovery」ツアーではライヴを超えた総合芸術の域に達していたが、根幹にある音楽家の肉体性こそ、やはり東京事変を唯一無二のバンドたらしめているのだ。一回性のアレンジ、音と音の刹那のぶつかり合い、林檎の呼吸、拡声器が生むノイズ――全てが生々しく、生命力に満ちている。最後に収められた “夢のあと”の《ただ同じときに遇えた幸運を繋ぎたいだけ》《未来を造るのさ》という言葉が、奇しくもステージ上の東京事変の全てを言い表している気がしてはっとした。(福島夏子)
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