孤独が交わり重なって

ASIAN KUNG-FU GENERATION『踵で愛を打ち鳴らせ』
発売中
SINGLE
ASIAN KUNG-FU GENERATION 踵で愛を打ち鳴らせ
アリーナ・ツアーで披露されていた表題曲は、ゴッチと喜多の共作曲。静かなオープニングから、感情の移ろいを冷静かつロジカルに捉えてゆく歌詞がつたい、それを踏まえた上で確かな歩みを繰り出すサビが胸を躍らせる。これをできるのがアジカンだろう、という否応無しの再確認ナンバーだ。掛け声だけのロックごっこを疑い続けてきたからこそ歌える《Without you/Thinking about you》のフレーズ。一人一人の生活は、ほとんどの場合が足並みを揃えた行進ではない。そんな孤独と向き合った時にこそ耳を傾けるべき、これからの音がある。
 
一方、カップリングの“リロードリロード”は演奏が2分にも満たない必殺のパンク・チューンで、こちらも表題曲と同クレジットの共作曲。やろうと思えばいつでもできる、という感じの「掛け声」のキレが痛快だ。あの表題曲にしてこのカップリング、という周到な構成、しかもテーマは一貫している。演奏の緊迫感含め、こうした新曲群をきっちりバンドの化学反応の中から生み出すことのできる今のアジカンの死角の無さというのは、何度でも驚かされる。(小池宏和)
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