この歌詞の一行一行に宿るもの

SISTER JET『YOUNG BLUE』
2012年06月06日発売
ALBUM
SISTER JET YOUNG BLUE
「YOUNG」で「BLUE」なシスジェ。この確信的なまでの自覚はどうだろうか。瑞々しく力強い、そしてキラキラと輝き続ける作品やライヴからは意外に思えるほど、彼らは計算高く、大人なバンドだ。歴史の中でありとあらゆる方法論が試されてきたロックンロールを敢えて選び取り、デビュー時から既に完成されていたワタルSのヴォーカルは、その響きとは裏腹に甘い夢想を剥ぎ取るようにしながらリアルとブルーと生まれたての新しいロマンを掴み取ってゆく。僕がシスジェに触れて胸を熱く焦がすのは、21世紀にロックンロールを輝かせようとする彼らの執念と努力によってだ。
 
バンドとリスナーがロックンロールを共有する瞬間を確かに捉えてみせるオープニング“Dear My Friends”を始め、すべて書き出してしまいたくなるほどに歌詞が素晴らしい。そして抜き差しならない現実が楽曲をドライヴさせる“トーキョーミッドナイトブレイクダウン”や“ダーティ・プリティ・ドッグス”の、オリジナルなロール感に満ちたソング・ライティングも見事。20公演のツアーも決まって、夏が楽しみだ。(小池宏和)
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