これぞアメリカン・ポップ・カルチャー

オフスプリング『デイズ・ゴー・バイ』
2012年06月27日発売
ALBUM
オフスプリング デイズ・ゴー・バイ
4年ぶり、9作目である。前作同様ボブ・ロックのプロデュース。

オフスプリングがもっとも勢いがあった時期といえば、やはり90年代ということになると思うし、いまだに一番人気があるのは全盛期のメロコア的なパンク・ロック・ナンバーだろう。だが実際は、その人気のピークを極めた『アメリカーナ 』あたりから、それだけにとどまらない、いわばアメリカン・ポップ・カルチャーの象徴、普遍的な「アメリカ文化」そのものを音楽を通じて表していこうという姿勢は際だっていたと思う。今作は、そのひとつの到達点と言える作品だ。

彼らの存在はハンバーガーやコーラ、ジーンズ・ファッションやハリウッド映画などのような、アメリカ発のさまざまなポップ・カルチャーを象徴する一種の文化的アイコンなのだ。20世紀以降の主だったポップ・ミュージックを生み、音楽以外のさまざまな新しいライスフタイルを作り出してきたアメリカの文化総体そのものが、オフスプリングのアルバムに凝縮されている……とはちょっと大げさな言い方だが、いずれにしろ今の彼らを十年一日のごときメロコア・バンドと捉えるのは間違っている。

王道アメリカン・ロック、ダブ、スカ、カリビアン、チカーノ、ソウル/ファンク、ダンス・ポップまで射程に捉えたごった煮ぶりは、まさに「アメリカーナ」である。気軽に楽しめて、発見も一杯ある。日本人が同じことをやれば学究的になりそうだが、深刻にならず、どこまでも軽いのが、いかにもオフスプリングであり、オレンジカウンティのアンちゃんたちらしいのだ。(小野島大)
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