魔法使いが描く闇のかたち

アルカラ『ドラマ』
アルカラ ドラマ
日常の裏側に潜む「狂気」を「描く」バンドは数多あるが、この日常そのものこそが狂気にまみれた暗黒おとぎ話の舞台であることを指し示しながら、聴く者すべてを二度と戻れない背徳の彼方へ連れ去ってしまうようなバンドはそういない――ということを、アルバム『こっちを見ている』とその続編的EP『おかわりください』の2作で印象づけたアルカラの、まさに決定打的5thアルバムだ。
 
魔術そのもののメロディを、歓喜と悪戯心と悪意と悲鳴が同時再生されたような声で歌い上げていく稲村太佑のヴォーカルはさらに抗い難く濃密なヴァイブを帯びているし、“いびつな愛”のカミソリ・ファンクぶりから“踊れやフリーダ”の超重量型フラメンコのようなサウンド、“防御線の果て”のソリッド&エモーショナルな音像まで、その楽曲世界を無限大増幅するアンサンブルはどこまでも深化している。何より、聴いた瞬間にこちらの心が身動きとれなくなってしまうほどの妖気。音楽に魂を「捧げた」のか「乗っ取られた」のかは定かではないが、彼らがとんでもない次元に足を踏み入れたことだけは確かだ。(高橋智樹)
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