「震災」も「原発」も見当たらない、しかし我々が向き合う「これから」の現実を確かに指し示してみせる歌詞には、野田がアーティストとして直面してきたであろうコミュニケーションの困難さと、それを乗り越えようとしてきた知恵・技術が結集している。カップリング曲の“独白”がまた感動的で、どこかオリエンタルで幻想的に響く鍵盤の中で綴られる、野田のスポークンワード。「これから」に向けて「これまで」を語る、ラッドの〈エピソード1〉とでも呼ぶべきナンバーだ。バンドマンでなくとも羨ましくなってしまうような、美しいロック・バンドの姿が浮かび上がってくる。更にはジャズ・ファンク風のインスト・ナンバーも収められていて、今の彼らのジャム・セッション的な力量が垣間みられるのだが、ここでもピアノの旋律がオリエンタル風味になっているのが面白い。3曲、どこから聴いても楽しめるはずだし、どこから聴いても凄いという点で、極めて風通しが良く自由度の高い作品でもある。 (小池宏和)
「これから」の話をしよう
RADWIMPS『シュプレヒコール』
2012年08月01日発売
2012年08月01日発売
SINGLE
「震災」も「原発」も見当たらない、しかし我々が向き合う「これから」の現実を確かに指し示してみせる歌詞には、野田がアーティストとして直面してきたであろうコミュニケーションの困難さと、それを乗り越えようとしてきた知恵・技術が結集している。カップリング曲の“独白”がまた感動的で、どこかオリエンタルで幻想的に響く鍵盤の中で綴られる、野田のスポークンワード。「これから」に向けて「これまで」を語る、ラッドの〈エピソード1〉とでも呼ぶべきナンバーだ。バンドマンでなくとも羨ましくなってしまうような、美しいロック・バンドの姿が浮かび上がってくる。更にはジャズ・ファンク風のインスト・ナンバーも収められていて、今の彼らのジャム・セッション的な力量が垣間みられるのだが、ここでもピアノの旋律がオリエンタル風味になっているのが面白い。3曲、どこから聴いても楽しめるはずだし、どこから聴いても凄いという点で、極めて風通しが良く自由度の高い作品でもある。 (小池宏和)