快活ニューウェイヴ

スペクター『エンジョイ・イット・ホワイル・イット・ ラスツ』
2012年08月15日発売
ALBUM
スペクター エンジョイ・イット・ホワイル・イット・ ラスツ
UKインディ村を飛び出し、メインストリームでのブレイクを目指す新星の最右翼と目されるロンドン出身の5人組のデビュー・アルバムである。ヴォーカルのフレッドとギターのクリスは2000年代半ばのUKロック・バブルの渦中で一瞬話題になったLes Incompetentsというバンドをやっていたのでインディ・マニアでひょっとしたら覚えている方もいるかもしれない。いずれにしてもLes Incompetentsの解散から6年以上粘ってこのUKギター冬の時代に再浮上してきたのは大した根性だと思うし、実際本作は開き直りにも似た「化け」の一撃だ。もともとNWの影響直下のロマン・ポップを得意としてきた人達だが、本作のポップにはNW特有の「アートの湿り気」のようなものが皆無、たとえば同世代で比較するならハーツと綺麗に対を成しそうな陽性のドラマツルギーで完遂されている。最も近いのはデビュー時のキラーズが鳴らしていた、あの闇雲な昂揚を煽るシンセポップか。BBCのSOUND OF 2012にもノミネート済で、フローレンス・アンド・ザ・マシーンの前座も務めるなどマスへの訴求も盤石。サマソニでの初来日も目前。(粉川しの)
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