フラカンのひとつの到達点

フラワーカンパニーズ『ハッピーエンド』
2012年10月03日発売
ALBUM
フラワーカンパニーズ ハッピーエンド
結成23年目、そしてオリジナルアルバムとしては通算14枚目となる今作。前作『チェスト!チェスト!チェスト!』は勢いあるアップナンバーがちりばめられライヴを意識して作られたことがわかる1枚だったが、『ハッピーエンド』はそのモードとは一転した輝きを放つ。ハイテンションなステージを繰り返しても湧いてくる、《生き続けるって事は 取り残されるって事か?》(“また明日”)、《歌は 歌は どこへたどり着けばいいんだろう?》(“宛てのない歌”)という《疑問符ばっかり》(“エンドロール”)の感情。今を生きる私たちの心の奥底にはびこる浮かない気持ちを、弾き語りのように素直で美しいメロディにのせて紡いでくれているのだ。目を引く派手さや、弾ける爽快感はないが、このタイミングで彼らが放つ音には、23年分の力強さと、年輪のように重ねてきた経験がある。だから、ここで歌われている「なぜ」に誰も明快な答えなんて持っていないことも知っているし、それでも前を見て歌い続けようというメッセージには説得力があるのだ。彼らのひとつの到達点とも言えるアルバムを携えた、ツアーも楽しみ。(藤田華子)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on