今がすべてだからこその輝き

パーマ・ヴァイオレッツ『180』
2013年03月06日発売
ALBUM
パーマ・ヴァイオレッツ 180
ハイプだと言いたいなら言えばいいじゃないか。と、パーマ・ヴァイオレッツの初来日公演を観て興奮した身としては思わずそう言いたくなる、最高のアルバムである。昨今、デビュー作だからこそ磨き抜かれたアルバムを上げてくる新人勢も多いが、本作はそうしたものとは異なる。いわば原石の輝きをそのまま閉じ込めたアルバムであり、だから聴く人によって印象はばらばらだと思う。ライヴを実際に観ているか否か、UKロックに思い入れがあるか否か、ロック・バンドの物語にリアルタイムでついていきたい衝動があるか否か。そうした聴き手のマインドセットで、このアルバムは全く違って聴こえてくるだろう。だからサマソニのライヴは絶対に観てほしい。早速本国でも色々と評価が分かれているみたいだけど、そんなこともどうでもいい。
 
ギターポップ、ガレージ・ロック、サイケデリック、ロックンロール……サウンドひとつひとつをとってみれば目新しさはない。けれども、例えばUKロック希望の新星:ジェイク・バグもそうだが、ある種使い古されたように聴こえるレトロな表層からどれだけの圧倒的なエネルギーと煌めきを解き放つことができるか、いや、自然放出できるかが図抜けた新人であるかどうかの証なわけだが、そういう意味でパーマ・ヴァイオレッツは満点合格である。未来なんてどうだっていい、イコール今がすべてという青春。それこそが、カオティックでもがらくたでもいい、これが自分たちのすべてなんだというサウンドを鳴らすことができる。先のことなんて知らないという瞬発力が翻ってUKロックの未来を照らす、これほど素敵なことはない。(羽鳥麻美)
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