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ザ・クラッシュ『ヒッツ・バック』
2013年09月18日発売
ALBUM
ザ・クラッシュ ヒッツ・バック
新編集のベスト・アルバムなんていうと、つい阿漕な商売かと警戒してしまうピュアなパンクスもいるかもしれないが、本作はかなり興味深い編集盤になっている。クラッシュみたいに代表曲からそうでもない曲まで含めて名曲がズラリとあり、しかも聴き込まれた度合いの高いバンドならば、選曲・曲順という要素がアルバムの構成に大きな意味を持ち、うまくすれば非常に新鮮な感覚を聴き手にもたらしてくれるのだ。

ここでは、ジョー・ストラマーがライヴ用に作成したセットリストをもとに、ミック・ジョーンズ、ポール・シムノン、トッパー・ヒードンと他のメンバー全員が関わって、新たにリマスタリングを施すなど実に丁寧な編集作業が行われている。各アルバムの音質面におけるバラツキについても、気にしすぎなければ大きな違和感を感じる箇所はまずないレベルに調整できていると言っていい。それよりも全キャリアから満遍なく選ばれた楽曲群が、年代順でなく混在して並べられていることで、しばしば初期と後期に分断された形で捉えられがちなクラッシュの音楽性を、大きな枠で捉え直す良い機会になるだろう。好企画だ。 (鈴木喜之)
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