石の上にも3年の奇跡

ザ・スマッシング・パンプキンズ『オセアニア:ライヴ・イン・ニューヨークシティ』
2013年10月09日発売
DVD
ザ・スマッシング・パンプキンズ オセアニア:ライヴ・イン・ニューヨークシティ
スマッシング・パンプキンズは、つくづく面白いバンドだ。振り返れば90年代〝オルタナティヴ?に存在しながらも、その中で異端だったわけだから。それから約20年、その異端児ぶりに変わりはない。バンドは再結成したが、ビリー・コーガン以外オリジナル・メンバーは残っていない。さらに、再結成ツアーでは、昔のヒット曲は演奏したくないと、ファンとケンカにすらなったくらいだ。それでもビリーには、理想があった。彼が公言していたように、「過去の曲を演奏して容易な金儲けはしたくない」のだ。それはアーティストとして健全な精神なのだと思う。しかし公の舞台で、ロック・スターとしてそれを証明するのは茨の道だろう。それでも彼はやり続けた。自分の信じるその先のスマパンを鳴らそうとした。それは、例えば、スマパンが90年代に絶望の中で理想主義をこそ鳴らし、他のバンドにはない輝きを放ったのと同じだ。このスマパン11年ぶりのライヴCD、DVDに収録されている『オセアニア』ツアー最終日は、その不屈の精神の結晶だ。新生スマパンがようやく今のサウンドを手に入れ、過去のサウンドと和解を果たしているのだ。(中村明美)
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