フェスでも単独ライヴでも、凄い人数が踊り狂っている光景がもう見えてしまった。会心のファーストアルバム完成である。KANA-BOONのロックは失恋の痛手とか、希望も未来もない日常とか、そういうモヤモヤに着火して、抜群の言語選びとリズムのセンスで爆発的なグルーヴを生む。インディ時代の〝ないものねだり〟(今作には未収録)も先行シングルの〝盛者必衰の理、お断り〟も超秀逸だったが、全曲これが普通なんですと言わんばかりのソングライティングと作詞のレベルは、完全に「ゆとり」世代のバンドの中で頭ひとつ抜けている。そして頼もしいのは、半径5メートルの心象風景の中で磨きこまれた彼らのロックが、時代や普遍を背負う覚悟へと、はっきりリーチし始めたことだ。《あのロックを耳に詰め込んで/数秒後世界を壊すんだ》(〝ワールド〟)、《だいたいこれは黒い魔法/僕は生きてる意味をメモリーに録る》(〝白夜〟)と、ポップミュージックとしてのロックが持つパワーの大きさや恐ろしさを、彼らは今まさにひりひりと自覚しているのだ。ここから始まる物語を見逃してはいけない。(松村耕太朗)