還る場所がある音

アルバート・ハモンド・ジュニア『AHJ』
2013年10月08日発売
SINGLE
アルバート・ハモンド・ジュニア AHJ
ニック・ヴァレンシ以外のメンバーがそれぞれにソロ・プロジェクトを並行させているストロークスだが、中でもアルバートは最も早くソロ活動を始めており、このEPは彼にとって早3枚目の作品となる。前作『コモ・テ・ヤマ?』(2008)はいかにもギタリストのソロといった趣のハード・エッジなロック・アルバムで、ストロークスが5年に亙って沈黙していた時期の只中にリリースされたこともあり、ストロークス的なサウンドやアプローチとは「違う」独自性をアピールしたいというアルバートの意思を強く感じる作品だった。翻って本作はストロークスの新作『カムダウン・マシン』とむしろ連続性を感じる作品と言うか、ストロークス的なサウンドやアプローチにこれまでアルバートが如何に寄与してきたのかが解析できるような音になっている。EPということもあって、曲が粒揃いでアルバートのセンスが端的に凝縮されており、このシンプリシティはまさに私たちが愛してやまないストロークスのそれだ。ジュリアンのカルト・レコーズからのリリースとなったことも含めて、「母体」であるストロークスとの絆を感じられるソロなのだ。(粉川しの)
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