ヘルマンにしか座れない椅子がある
Hermann H. & The Pacemakers『THE NOISE,THE DANCE』
2014年01月29日発売
ALBUM
実に約10年ぶりのHermann H. & The Pacemakersの新作アルバムに胸躍りっ放しなのを抑えながら冷静に聴いて、改めて気づいたことは大きく3つ。2010年代日本に星の数ほど存在する狂騒パーティー系インディー・ロックの系譜の先を辿ると、必ずと言っていいほどヘルマンに行き着くということ。当のヘルマン自身は、「今」へのカウンターもルサンチマンも関係なく、己の感性と情熱のままに音を鳴らしているであろうこと。そして、冒頭の“Welcome Home Heroes”から弾け回るホットで鋭利な躍動感が、紛れもなく「最新型のヘルマン・サウンド」を形作っている、ということだ。平床政治も正式に復帰を果たし、万全の体制で復活した今だからこそ、《スターライト 教えて このまま僕ら 終わっていっちゃうのかい?》(“スターライト”)という言葉が切なさではなく「その先の希望」を喚起する物語として機能しているし、《叶えてみるかい?夢にまでみたオトナの階段のぼって/イビツなままでイイんじゃない?》(“Wake up & Go”)という軽やかなフレーズが「今」への爽快な宣戦布告として響く快作。(高橋智樹)
2014.01.27 21:00