またも驚愕の新曲だ。“風が知ってる”は、ゆったりした歌メロは美しいのだが、トイピアノっぽい鍵盤と思い切り歪んだギターの危なっかしい幕開けから、曲が進むほどに音の重なりが大きなアンバランスを描き出し、最後は不安を引き連れてギターがノイズを放り出す。アニメのエンディングテーマというニーズには十分応えながら、それを上回る破壊力を発散するのだから小気味いい。“ひつじ屋さん”も然り。こちらは夢にまつわる映画の主題歌で、眠りに誘ってくれるのかと思えば神経逆撫でするような変拍子で始まるアグレッシヴなナンバー。歌と楽器がそれぞれに動き回り、旋律を奪い合いながら展開して行くシンフォニックな構成で、悪夢と孤独に怯える長い夜を彷徨う。一筋縄では行かない津野の曲を、今まで以上に他の3人が理解し受け止め消化しているからこそ成立しているのだが、そうなればなったで津野はハードルを上げて行く。そんな未来に向かう彼女たちには、このシングルも通過点。最後の平井堅“POP STAR”も歌はすっきり演奏は奔放で絶妙なカヴァー。彼女たちの潜在能力は無限だ。(今井智子)