「表現としての音楽」の奪還作戦

曽我部恵一『まぶしい』
2014年03月05日発売
ALBUM
曽我部恵一 まぶしい
「昨年11月の『超越的漫画』からたった4ヵ月で全23曲・69分の新作アルバムをリリース!」という衝撃よりも、やはり驚かされるのはその内容だ。セクシーなエレクトリック・ファンク“汚染水”、亡き大滝詠一への想いを凝縮させた弾き語りカヴァー“それはぼくぢゃないよ”といったアナログ盤で発売されたシングル曲をはじめ、《女なんてどれもいっしょじゃないか》と静かにぶち上げるハイブリッド・フォーク“純情”、とんかつ定食への欲求が1分21秒の音の泡となって鼓膜を包む“とんかつ定食たべたい”……あらゆる体裁や枠組みを取っ払った、ミニマルでイビツで、だからこそリアルな歌が、バンド/アカペラ/ラップ/ポエトリー・リーディング/ノイズなど思い思いの音像とともに自由闊達に弾け回っている。《うまく歌えなくても完璧じゃなくても/歌おうと思ったことが歌なのだから》(“まぶしい”)――『超越的漫画』から続く「『万人共有可能なユニバーサル・デザイン』ではない『個の表現』としての音楽の奪還」へ向けての曽我部恵一の闘いが、いよいよ制御不能な形で結実した、怪盤にして快盤。(高橋智樹)
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