長い間、MADやAA=をやって来たおかげで、自分が何であるか?はある程度は分かって来ています。後はAA=でそれの完成形を目指すのみです

● これまでBiS、BABYMETALといった女性アーティストの作品に楽曲提供などの形で上田さんが参加することはありましたが、AA=の楽曲に女性アーティストが参加するのは初のケースです。そういう面での新鮮さもあったのではないですか?

そうですね。
AA=にゲストが参加してもらう事自体が初めてで、しかも女性なので、それはやはり新鮮でした。

● 歌詞には《POST ミライ》《創造(想像)しろPREミライ》というフレーズが繰り返し登場します。「自分の未来は自分で作れ」と「PREミライ」=「今」へ覚醒を促すメッセージ、というふうに僕は受け取ったのですが、こういう形で「ミライ」越しに「今」に焦点を当てようと思ったのは?

今は未来への途中でしかないからです。
よく言われる様に政治的にも、まだまだ世界は素晴らしくはありません。
環境に関する問題の多くは解決の道筋すら出来ていません。
そして、そのほとんどは人類が作り出してる危機です。
政治的、思想的なスタンス、置かれてる立場や、生まれ育った環境において、それぞれが意見や考えがあります。
でも進むべき道、進む事の出来る方向は、それほど多くは無いと思います。
先ほどの質問の答と重複してしまいますが、「今とは未来を作る」事です。
今を生きる僕らは未来の絶対的な創造者です。

それは僕の中の常に変わらないテーマです。

● 実際、上田さんは震災後の“We're not alone”のダウンロード販売の他にも、チャリティーTシャツ販売という形で「AA= AiD」の活動を続けていますし、「未来を自分で作る」ために尽力しています。「AA= AiD」も音楽と同じように、AA=の活動の根幹となっているということでしょうか?

そこは少し違います。

AA=は究極は「上田剛士の音の追求」であり、突き詰めるとエゴイスティックな物です。
ある種音楽はエゴイスティックな側面もある物で、それを追求する事をはっきりと目的としてやっているのがAA=です。

AA=AiDの活動はそれとは真逆にある存在で、単純にチャリティーを目的としています。
そこは他者に対する誠実さが唯一の存在理由になると思うので、成り立ちは全く逆の物です。

社会的な活動の一環としてやっている事なのでAA=とは別の考えです。
言い出したのが僕なので便宜的に、また自分が活動の責任者であるという事を示す為にAA=の名前を入れていますが、この活動に関わる人はAA=のメンバーとはまた別の沢山の人達によって成り立っている、僕だけがやっているのとは違う活動です。
そして、この活動の根底には、自分たちで何か出来る事があるならば役に立ちたいという単純なみんなの気持ちです。
みんな、とても普通の事としてヒロイックでは無く、淡々とやり続けています。

● 上田さんは、THE MAD CAPSULE MARKETS時代からAA=まで、常に「デジタル&ハードコアな音楽と鋭利なメッセージで社会に作用する」ことを一貫して実践してきたと思うのですが、それこそBiSやBABYMETALへの楽曲提供であったり、難波章浩さんとのコラボであったり、その表現の自由度が近年どんどん増してきているように思います。それは上田さんの中での何らかのモードチェンジを反映しているのでしょうか?

そうですね。
年を取ったのもあると思います。笑
長い間、MADやAA=をやって来たおかげで、自分が何であるか?はある程度は分かって来ています。
先ほども書いた様に、後はAA=でそれの完成形を目指すのみです。
その反面、他の人への楽曲提供は自分の振り幅とはまた違ったモードを試してみる場になっています。
それは自分でも新しい発見が出来て新鮮さもあります。
ある種「自分」から解き放された自由な場でもあるのかもしれません。
AA=が自分を追求する場であると決められているので、出来る事なのかもしれないです。

もちろん、そこにも上田剛士としての音である事は重要で、そこにある全ての音は、多くの演奏も含め自分の作品として作り上げています。

● ちなみに、上田さんが楽曲提供されたBABYMETAL“ギミチョコ!!”は海外でも人気曲で、先日の『METAL HAMMER GOLDEN GODS AWARD 2015』ではBABYMETAL×DRAGONFORCEのコラボで演奏されていました。「あの上田剛士が楽曲越しにUKメタルシーンと邂逅!」というのは、10年前だったらまず考えられないことだと思うのですが。上田さん自身、そういう感慨を覚えることはありますか?

そうですね、自分も10年前はMETAL HAMMERやKERRANG!に載っていたので、面白い事だと思いました。
当時も自分の音はユニークだと言われて高く評価してもらっていたので、今もまたそう思われているのはとても嬉しいです。
もちろんBABYMETALの成功に関しては、彼女達の才能と努力が認められた結果です。

"ギミチョコ!!"をDRAGONFORCEにカバーされた事は自分の演奏を彼らみたいなバカテクな人達にカバーしてもらい、少し申し訳ない感じです。笑
常に練習し続けて今のテクニックを手に入れた彼らと、まずストラップの長さを目一杯長くして、それから始めた僕とではスタートの意識から違うので、僕のパンクスピリットな音を表現してもらえたら、僕には何も言う事はありません。
でもギターソロは彼らにもやり甲斐があったと思います、もちろんそこは僕の演奏では無いからです。笑

日本の多くの才能ある若い音楽家が、もっともっと世界に出て行く事を期待しています。

● 最後に……『#』『4』連続リリースから1年半が経ち、そろそろ次のアルバムが楽しみなところです。“→MIRAI→(ポストミライ)”はAA=の音楽世界が進む「ミライ」像を示唆するカギとなるのでしょうか?

はい。
僕は常に前に進み続けます。
自分の未来の可能性は追求し続けます。
音も世界も、少しでも良いモノを求め続けて行きます。

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