フェスに出たいバックドロップシンデレラ・豊島×フェスを主催するアルカラ・稲村 スペシャル対談

バックドロップシンデレラ・豊島×アルカラ・稲村

バックドロップシンデレラがニューシングル『フェスだして』をリリースした。タイトルの通りフェス出演を訴える衝撃作であり、バンド/フェス/ライブハウスの関係を包括的に歌うクレバーさが垣間見える楽曲にもなっている。そこで今回はネコフェスの主催者でもあるアルカラの稲村太佑を招き、豊島”ペリー来航”渉と語り合ってもらった。フェスに出たい人とフェスを主催する人。群雄割拠のフェス時代をロックバンドはどのように渡っていこうとしているのか。さまざまな示唆に富む対談になったと思います。どうぞお楽しみ下さい!

司会=秋摩竜太郎 撮影=齋藤毅

ある日バックドロップシンデレラがツアーで来て「とんでもないバンドが来てしまった!」って(稲村)

――おふたりは長い付き合いですよね?

豊島 僕、池袋のライブハウスで働いてるんですけど、そこにアルカラが出たのが——。

稲村 初めて東京でライブをやったんが2003年の1月で。その中にその池袋Admもあって。でもまだスタッフではなかったですよね?

豊島 そうか、初ライブのときはいなかった。

稲村 そのあと何度かお世話になる中でスタッフさんとして知り合って。

豊島 僕も池袋Admに出演していたひとりだったんですけど、途中からスタッフとしても関わるようになって。働きながらアルカラを観てて、「うわ、すごいのがいる!」って思ってましたね。

稲村 僕は神戸でやってたんですけど、ある日バックドロップシンデレラがツアーで来て。それが渉さんやって、「とんでもないバンドが来てしまった!」っていうのが第一印象で。それまではどんなバンドやってはるとか知らなかったんで。

――バックドロップシンデレラは2006年の結成ですもんね。

稲村 だからライブハウスの、毛むくじゃらのヤバい兄貴っていう印象で(笑)。

豊島 バックドロップシンデレラの前にほかのバンドをやってたんですけど、正直当時のアルカラのライブがすごすぎて自分がバンドをやってるとは言えなかったんですよ(笑)。

稲村 そんな(笑)。

豊島 対バンする気にもならないみたいな。で、バックドロップシンデレラを本気でやっていこう、関西でもツアーやりたいってなった時に、じゃあ(アルカラのホームである)神戸ART HOUSEに行こう、稲村太佑に観せに行ってみようって。

稲村 観たら本当にとんでもなくて衝撃でした。それから最近はほとんど毎年Admのツーマン企画に出してくれて。

豊島 僕らもネコフェスに呼んでもらっていて。

――そうだったんですね。でも対談の機会はあまりなかったみたいで。

豊島 初めてです。

稲村 なんで僕をこんなフォーマルなところに(笑)。

10周年が感動で終わったんで、その感動をどれだけなかったことにできるか(笑)(豊島)

――今回は“フェスだして”という曲をきっかけに、バンドにとってフェスとはといった話を訊いていきたいのですが。まずはこの曲について、僕が感じたのは「それ歌っちゃうの?」みたいなおもしろみがありつつ、言いたいことは曲で言う姿勢が潔いし、多くのバンドの気持ちを代弁しているなってことで。あと曲にオリジナリティがあるから説得力もある。

豊島 潔いのはそうですね(笑)。まずシングルを出すこと自体が2年ぶりくらいで。僕らは年間100本ぐらいのライブを約10年やってきたバンドで、去年10周年を迎えたときに「来年以降はどうしていきたいかな?」って話をメンバーとしたら、単純に「フェスに出たい」と(笑)。
別にライブハウスに飽きたわけじゃないけど、今までと違う刺激が欲しかった。僕は純粋にずっとバンドを楽しくやっていきたい。そのためには、去年と同じスケジュールだとテンションが上がらないんですよ。で、とりあえず春にシングルを出そうってことになったんですけど、作ってるうちにこんな曲に。10周年が感動で終わったんで、その感動をどれだけなかったことにできるかというか(笑)、新しくスタートするには最適な感じで。

稲村 聴かせてもらって、たぶん、特に大型フェスに出たいってことでしょうけど、僕らからしたら常に一緒にやってるバンドなんで「いやネコフェス出てるし!」って思いました。しかしこんな直球というか、想いをそのまま言葉にするなんて。でもライブ集客全体は増えてるけどそれはライブハウスじゃなくてフェスで増えてるだけみたいな、今のロックシーン全体が風刺されてる感じが巧みというか、クレバーだなと。
フェス出演をかけたオーディションとかもいろいろありますけど、俺らはそういうやり方じゃないねんみたいな、「出てくれって言われるまで自分らでやんねん、でも出たい!」っていうバンドってけっこういると思うんですよ。そういうバンドの心を歌ってる。おもしろい曲を書いたなこの野郎って思いましたね(笑)。

豊島 まあセルフマネジメントという形でやらせてもらってて、毎日ライブハウスでも働いてるんで思うところはありますね。でもライブハウスにだけこだわってるバンドって思われてるとしたらそれは違うみたいな。いやフェスも出してもらいたいと思ってますよって。たぶん今日本で一番出してほしいって言ってるバンドじゃないかな。

稲村 バックドロップシンデレラは特にこの数年、支持のされ方が変わってきた感じで。自分たちの道を追求し続けた10年の結果というか、最初の1、2年ではわからなかったんがようやくわかる人が増えてきたっていうか。長くやってるからこその信頼というか。最初観たときから衝撃的だったけど、そのインパクトを塗り替えていく、あるいはまた違った武器を増やしていくみたいなことを10年貫いたことでそれがひとつの型になってバックドロップシンデレラっていうジャンルができたみたいな。だから刺激を求めて外に出ようっていうかもうみんな待ってるぜっていう……みたいなコメントでいいですか?(笑)。

豊島 ありがとうございます(笑)。

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