THE BEATLES 映像と音で新たに蘇る『ザ・ビートルズ1』、名曲の裏の物語に迫る

15年前に出たNo.1ヒット曲だけを集めた『ザ・ビートルズ 1』は世界35カ国で1位を獲得し、総計3,200万枚を売る大ヒットとなった。それを今度は、以前から待たれていたプロモ・フィルム等を加え、音も最新のステレオ・ミックス、さらに5.1chドルビー・デジタル/DTS-HDサラウンド・ミックスの形でリリースだ。

基本の全27曲入りのCD+DVDに加え、フォーマットは全7種類あるが、お薦めは映像23曲分を収めたCD+2DVD(もしくはブルーレイ)のデラックス・エディション。丹念なリペア、レストアのおかげで、とくに中期以降のカラー画像は必見なのだが、感じ取ってほしいのはデビュー直後のアイドル然とした姿から、急速に成長し、音楽性を深めていく流れが、“映像”でしっかりと確認できるところ。わずか7年ほどの間の出来事だが、濃密な歴史が生々しく受け止められるはずだ。

(文=大鷹俊一)

『ザ・ビートルズ 1』
大鷹俊一氏が選ぶ注目の10曲

From Me To You フロム・ミー・トゥ・ユー

“ラヴ・ミー・ドゥ”、“プリーズ・プリーズ・ミー”に続きビートルズ3枚目のシングルとして発表され、7週連続全英No.1を獲得した。映像は63年11月4日にロイヤル・ファミリーの前で行われた『ロイヤル・ヴァラエティ・ショー』でのテレビ中継の模様で、初期ビートルズの演奏が楽しめる。このライヴはジョン・レノンが“ツイスト・アンド・シャウト”の前に「安い席の方は手を叩いてください。それ以外の方は宝石をジャラジャラさせてください」と言ったMCでも有名なもの。

I Feel Fine アイ・フィール・ファイン

イントロのギターのフレーズが印象的なこの曲は、64年11月に8枚目のシングルとして発売されたもので5週連続全英No.1となった。パンチングボールなどエクササイズ器具と戯れる映像は、いろいろと制約の多いテレビ出演に煩わされるよりはプロモーション映像を作ればいいと、65年11月23日に一気に5曲分10ヴァージョンを撮ったときに収録されたもの。ボーナス・ディスクには、スタジオでフィッシュ&チップスを食べるシーンを使った別ヴァージョンが収められているが、これは手づかみで食べるところがマネージャーのブライアン・エプスタインの怒りをかって公開されてこなかったレアな映像。

Day Tripper デイ・トリッパー

次の“恋を抱きしめよう”とダブルA面で65年12月に通算11枚目として発売され、5週連続全英No.1となったものでジョンのヴォーカルがリードするナンバー。また同日には6枚目のアルバム『ラバー・ソウル』も発売されていた。この映像は65年11月23日に撮られた5曲の一つで、3ヴァージョンがあり、本編とボーナス・ディスク(2種類)にすべて収録されている。ギターのリフやメリハリの効いた構成のせいか5.1chサラウンドが効果的で、それまでのビートルズ体験にはなかったような感覚が味わえる。

We Can Work It Out 恋を抱きしめよう

“デイ・トリッパー”とのカップリング・ナンバーで、こちらはポールのヴォーカルがフィーチャーされている。イギリスでは前記のようにNo.1となったが、当時のアメリカのチャートは売り上げとラジオのオンエアを集計するシステムだったためにこちらが1位で、“デイ・トリッパー”は5位に終わっている。同じく65年11月23日に撮られたもので3ヴァージョンあり、そのうち2種類が本編とボーナス・ディスクで見られるが、どちらもジョンが珍しくオルガンの前に座っていて、一つではさかんに歌っているポールを笑わせようとする様子が見られる。

Paperback Writer ペイパーバック・ライター

66年6月に12枚目のシングルとして出され2週間全英No.1を記録したもの。アルバム『リボルバー』と同時期にレコーディングされ、B面の“レイン”ともポールの弾くベースのサウンドが特徴的な曲。映像は5月19日にスタジオでAB面を口パクしたものと、翌日にウェスト・ロンドンのバーリントン・レーンにある邸宅チズウィック・ハウスでロケしたものの2曲分計4ヴァージョンある。本編収録の“ペイパーバック・ライター”は庭園ロケのもので、レストア効果が素晴らしく、赤いバラやイングリッシュ・ガーデンならではの深い緑がとても印象的。残りの3つの映像もボーナス・ディスクですべて見られる。

Lady Madonna レディ・マドンナ

“ハロー・グッドバイ”に続き68年3月にリリースされた通算17枚目となるオリジナル・シングルで、全英では2週No.1となるがアメリカでは4位止まりだった。ポールのピアノやゲストのサックス・プレイヤー等が加わったサウンドは印象的だが、映像のほうは、大きな話題となったインド旅行の直前にレコーディング中のスタジオで撮られたもの。そのとき実際に録音作業していたのは、アニメ映画『イエロー・サブマリン』に提供された“ヘイ・ブルドッグ”で、今回の一連の制作過程の中で同曲の素材が新たに発見されボーナス・ディスクに収録されている。

Hey Jude ヘイ・ジュード

ビートルズを代表する名曲の一つであり、彼らが設立したアップルの第一弾として68年8月にリリースされたナンバー。全英は2週のNo.1だったがアメリカでは9週間No.1を記録し、ビートルズ・シングルの中でもっとも長いNo.1ヒットとなっている。また当時、7分を超える演奏時間はヒット曲としてはもっとも長かった。映像は“ペイパーバック・ライター”などを撮ってきたマイケル・リンゼイ=ホッグが監督し、撮影したスタジオのあるミドルセックスの地元の人々や、いつもアビー・ロードの前にいるファンなどが、曲の最後のリフレインで入ってくる楽しいもの。

Something サムシング

リリース上は“レット・イット・ビー”が最後だが、レコーディングなど実質的にラスト・シングルとなったもので、初めてジョージ・ナンバーがA面に起用された。69年10月に発売され、全英は4位止まりだったが全米ではNo.1を記録している。映像は、すでにこの頃は4人が全員揃うのが難しくなっていたためにそれぞれのパートナーと自宅周辺で撮影したものがミックスされており、今回のリペア、レストアの効果がもっとも表れたものの一つで、美しい画像が見られる。またパートナーを含め計8人の出演者中、すでに4人が亡くなっているだけに感慨深い映像でもある。

Strawberry Fields Forever ストロベリー・フィールズ・フォーエバー

ベスト・ビートルズ・ナンバーに挙がることも多い曲だが、映像もビートルズのプロモーション・フィルムの最高峰の一つ。もともと67年2月に14枚目のシングルとして“ペニー・レイン”と両A面でリリースされ全英では2位、全米では8位と、後年の大評価とはちょっと違った成績が残されている。ビートルズはプロモーション映像も新しい表現フィールドと意識するようになり、ここでは知り合ったスウェーデンのディレクター、ピーター・ゴールドマンを起用し35ミリ・フィルムで撮影するなど、当時のアートフィルム的なアプローチを行っているが、現代でもその美意識は通用しているし、今回、とくに美しく蘇った映像の一つだ。

Revolution レヴォリューション

68年8月に“ヘイ・ジュード”のB面としてリリースされたが、もともとは『ホワイト・アルバム』のときにレコーディングした曲をテンポアップし、ディストーションを効かせたヘヴィなサウンドにしたもので、ビートルズのもっともハードな側面を聴ける曲の一つ。映像はトゥイッケナム・フィルム・スタジオで撮られたが、ヴォーカルは生でレコーディングされている。66年8月にコンサート活動を止めて以来、人前でのライヴは行っておらず約2年間のブランクがあるわけだが、そんなことをまったく感じさせないドライヴ感はライヴ・バンドとしてのビートルズのポテンシャルの高さを示している。

『ザ・ビートルズ 1』
ミュージック・ビデオ&
トレーラー映像集

“Hello, Goodbye”

“Help!” - 1s Preview

Blu-ray/DVD Trailer

The Beatles 1 Video Collection Restoration Trailer

“Penny Lane”(Split Screen)

ジョナサン・クライド(Apple Corps Ltd. 映像制作担当役員/『ザ・ビートルズ 1』プロデューサー)『ザ・ビートルズ 1』を語る

提供:ユニバーサル ミュージック

企画・制作:RO69編集部

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