ROCKIN'ON JAPAN INTRODUCTION
BRAHMAN

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TOSHI-LOW、BRAHMANの20年を背負う

今年結成20周年イヤーを迎えたBRAHMAN。ニューシングル『其限~sorekiri~』、そしてその”其限”が主題歌となった箭内道彦監督のドキュメンタリー映画『ブラフマン』、さらにその20年の軌跡を2枚組に詰め込んだベストアルバム『尽未来際』――期せずしてこれまでBRAHMANが築き上げてきたものを見返して、TOSHI-LOWはそこに何を感じたのか。BRAHMANの「前史」と現在の彼らを結びつける映画と、去っていった仲間にメッセージを届けるような新曲”其限”はBRAHMANのどんな姿を浮かび上がらせるのか。7月30日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より、一足先にTOSHI-LOWの発言をお届けする。

インタヴュー=渋谷陽一 撮影=半沢克夫

自分で映画作ろうなんて思わない。俺、横山健の映画のポスター見て指差して笑ってたんだから(笑)。「映画なんかにするべきじゃないよぉ」なんつってさ。まあ、箭内(道彦/監督)だったからいいんじゃんみたいなのはあったんだけどね。いろんな話がどんどんつながって、過去にもつながってっていうのが見えたんじゃない、最後に箭内の中では

(元メンバー=DAISUKEは)取材受けるだろうなとは思ってた、最終的には。はじめは断ったと思うよ、「僕はパン屋なんで」って。だから箭内に「会いに行ったら?」って言ったの。会いに行って顔を見て話聞いて、取材したいって話をしてみれば?って。タイミングも良かったんじゃないかな。蓋してたんだよ、心に、実は。パン屋っていうものがどんだけ大変かって全部わかった上で、音楽に蓋をしたんだと思う。俺らのことも関係ない、元メンバーとかそんなの関係ない、パン屋のあいつっていうことで生きていこうってなったから。で、今回その蓋を開けたんだと思う

バンドってそういうもんでさ。たとえば自分がBRAHMANであるけど、実は自分じゃないBRAHMANもいて。そのBRAHMANっていうものに落とし込んで、BRAHMANを作り上げるわけじゃない? それを今の瞬間できれば今の4人だし、でもそれを縦軸で切ればああいうふうに関わってる。まあ、メンバーだけじゃなくてさ、その周りにいた人の、あそこに出てない人も全部物語の主人公なんだと思う

今40の俺がその若い俺に話しに行かなきゃいけないの。いっちばん面倒臭い、「絶対出ねえよ、ROCKIN’ ON JAPANなんか」みたいなそういうノリのさ。俺が今の俺だったらあん時のDAISUKEに何を話せただろうかとか、たとえば俺がNABE(元メンバー)に死なないでくれるように、将来死なないでくれるように何かを言うとしたら、どんな言葉をかけとけばあいつは何年後に死ななくなるんだろう、とかってものを考えたら――いやあ、辛い作業だった

結局二十歳の自分を説得できたのかっつったらまったく説得できなかったけど、それによって今の俺がものすごい変わったんだよね。俺がそいつに対して自分の今の姿をありのままに見せたことによって後ろめたさがまったくなくなった。今まで持ってた、自分が音楽で食べてしまってる罪悪感とか、音楽、なんか自分の芸術性を汚してるような気がしてたのが、まったくなくなった。なんかもう生きてること、今歌ってることだけ正直にやれてるっていうことを、今の生き様として受け止めた

裏も表もここまで見せといてなんだけど、全然違うんだよ、やっぱり。俺が求めてるものって。やっぱもっと、どっか自分にしかわかんない狂気の部分があって、だから「人間っぽいですね」とか「いいお父さんですね」とか、そんなのなんの満足にもならんわけ。俺もしかしたらこんなにアーティスティックなんだ?みたいな、狂気の部分が今あるの。もっと狂っていいやって思ってる自分がいるんだよね

(”其限~sorekiri~”は)歌ってても結構無欲でさ、これ。フェスでももうさ、歌ってんだけど。結構ジーンとしてくれる人たちは多いし、新曲のわりにはすごい反応もむちゃむちゃいいんだけど、普通そうなると今までの俺だったらちょっと調子こくんだよ(笑)、相乗効果ってあるじゃん、やっぱ。でも、ただ無心なんだよね。そこで目の前に人がいっぱいいるんだけど、目の前じゃない人たちもいっぱいいるような感覚っていうか

続きは2015年7月30日(木)発売のロッキング・オン・ジャパン 9月号で!

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