BxAxG メジャーデビュー! ロックの「楽しさ」を伝える伝道師に迫る

J2クラブ「水戸ホーリーホック」の公式応援ソング“スーパースター”を手掛け、NHK Eテレのドキュメンタリー番組『人生デザイン U-29』ではヴォーカル・NAOIの特集がオンエアされるなど、すでに地元・茨城から全国へと熱い注目と支持を広げつつある熱血ポップミクスチャー6人組=BxAxGが、10月21日にシングル『ハックルベリー』でメジャーデビューを果たす。ロッキング・オン主催のアマチュア・アーティスト・コンテスト「RO69JACK 2010」で見事優勝、2010年&2011年にはROCK IN JAPAN FESTIVALにも出演している彼ら。各地で精力的なライヴ活動を展開する一方、2010年からの5年間でミニアルバム2枚&シングル3枚と決して多作とは言えないリリースペースだったのはなぜか? そして、彼らをメジャーの世界へと導いた最大の魅力とは? 6人全員取材でバンドの核心に迫る!

インタヴュー=高橋智樹
撮影(インタヴューショット)=後藤寛子

曲自体に「ミクスチャーだ、俺らは!」みたいなセオリーもないんですよね。「俺たちはこのジャンルだから、曲もこうあるべきだ」みたいな縛りはすごくイヤなんです(NAOI/Vo)

──「RO69JACK 2010」の優勝から約5年、いよいよメジャーデビューのタイミングが訪れたわけですが。メジャー進出はバンドの目標としてはあったんですか?

NAOI俺は正直、メジャーデビューはしなくてもいいかなあと考えてました。

──というと?

NAOIインディーズでカッコいいバンドをいっぱい知ってるし……ただ、近くにいる人に応援してもらいたいんですよ。親とか、じいちゃんとかばあちゃんとか、メンバーに彼女ができたら彼女にも応援してほしいし(笑)。正直「RO69JACK」に出た時もそうだったし、俺らがフェスの舞台に出ても、茨城だから人がまあまあ集まるけど、その先に何があるのかは別に何も考えてなかったんですよ。俺らもいい年してるから、とりあえずROCK IN JAPAN FES.出れば、「おまえらいつまでやってんだ!」ってならないだろうと(笑)。そのためにメジャーデビューが必要だったら……ぐらいのニュアンスですね。

── なるほどね。「故郷に錦を飾る」のと同時に、今後への免罪符も手にしたっていう。 

NAOIでも、そう言いながらも活動してきて、「メジャーデビューしてえなあ」っていうのはあって。もう10年ぐらいやってきて――変な話、俺らお客さんに「解散しない」って公言してるんですよ。たとえば就職したとしても、2〜3ヶ月に一回ライヴはできるだろうと。でも、もしその方針をシフトすることがあるとしたら、まあせめてメジャーデビューしてから区切りはつけてえわなあ、っていう話はしてたよね。将来、子供に「父ちゃん音楽やってたんだぞ」っていう時に――。

Kazuki(G)「プロのミュージシャンで」っつって。

NAOI「メジャーだぞ俺?」っつって(笑)。

── (笑)。今は2MC/2ギター/ベース/ドラムっていう編成ですけど、5年前に「RO69JACK」で優勝を勝ち取った時は、2MC+1DJ+G・B・Dr編成だったわけで。作品のリリースが少なかった理由にはその、バンドの音楽自体をそのつど再構築する難しさもあったと思うんですけど、どうですか?

NAOIそうですね。ギターはいたけど、今のふたり(Kazuki&KOZI_LAW)とは違ったし。前にいたギターはバッキング担当で、DJが抜けたあと、Kazukiがリードギターとして入ってきたんです。で、バッキングのギターが辞めました。それで今度、KOZI_LAW(G)がリードで入ってきて、Kazukiはバッキングになったんです(笑)。

Kazukiポジションが流動的に動いてるんです(笑)。

KOZI_LAWもともと1ギターで作った曲をライヴでやるっていう時に、2ギターに分けなきゃいけないので。その割り振りとかもあったし――。

Kazukiでも、音を入れすぎてもゴチャゴチャするんで、抜くところは抜かないと変になっちゃうので。

NAOI俺らのライヴは同期が流れてて、違う音が鳴ってるので、余計に棲み分けを考えていかないと、うるさくなっちゃうんだよね。だから、ギターふたりで結構我慢したり、たまに俺も介入して「こうしたほうがいいんじゃね?」って話もして……ひたすら時間かかりましたね。

KOZI_LAW元から結構活動してたバンドにあとから入るっていうのが、僕自身初めてだったんで。もともと好きだった人を離さないようにBxAxGの良さを大事にしつつ、なおかつ自分のテイストを入れて、自分が入った意味みたいなものをちょっとずつ出していくっていうのは……結構大変でしたね。

── そうやってプレイヤーとしてのアイデンティティも出しつつ、バンドのカラーをキープし続けるっていう、そのバランス設定も難しいんじゃないかと思うんですけど?

KOZI_LAWでも、たぶん全員思ってるのは、「歌が一番届けばいい」っていう。そこがベースにあれば、やりすぎちゃったら誰かが言うし、言われるし、みたいな。俺らのお客さんも、どっちかっていうと歌を聴きに来てると思うんで。そこがたぶん、みんな共通して持ってる意識だから、意外と大丈夫な気がしてますね。

NAOI絶妙な隙間を突きます(笑)。

── 「俺のギターを聴けや!」みたいな感じにはならない?

NAOIまあ結構、譲り合ってるっちゃあ譲り合ってますね。だから、自分っていうよりは、どうしたらBxAxGが伝わりやすいか、わかりやすいか、っていう。そこで、自分のエゴが入ることでわかりづらくなるんだったら、BxAxGを優先して譲りますよ、っていう話ですよね、たぶん。

── 今回のシングルの3曲も、名曲アンセムサイドの“ハックルベリー”、お祭りサイドの“バカニバル”、反骨心剥き出しの“わっしょいメリーゴーランド”と3方向に突き抜けてるし、個々の演奏のエッジ感とかミクスチャーの爆発力も凝縮されてるけど、それよりは「バンドとして何を届けるか」っていうところにフォーカスが合ってる感じですよね。

NAOI確かに俺ら、ミクスチャーって言っちゃってるんですけど、曲自体に「ミクスチャーだ俺らは!」みたいなセオリーもないんですよね。全然ラップしない曲もあるし、歌重視の曲もあるし。ただ、特にお祭りソングとか歌ってる時は、自分らが好きなミクスチャーのテイストをふんだんに盛り込みたい!みたいな。だからミクスチャーって謳ってる、っていう感じなんですけど……でも、何のジャンルなのかもわかんなくね?(笑)。

KOZI_LAWだからミクスチャーって言ってるのかも。レッド・ホット・チリ・ペッパーズをミクスチャーと言うんだったら、俺らはもう胸張ってミクスチャーじゃねえ!と思ってます(笑)。

NAOIいろんな曲やってるしね。「俺たちはこのジャンルだから、曲もこうあるべきだ」みたいな縛りはすごくイヤですね。「今出てきたの、良くない? だったらそれが自分らじゃない? 別に温存しなくてよくない?」って。ジャンルはボーダレスで行きたいよね、やっぱり。

BxAxG

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