Lyu:Lyu改め、CIVILIANへ――
新たな一歩を踏み出した決意を語る(2)
僕らは3ピースだから音数の面で少ないですけど、だからこそ「演奏で負けたら終わりだ」という意識は、ずっとあるんですよね(有田)
――そして、“Bake no kawa”を聴いて強烈に感じるのは、構築されているサウンドの圧倒的なエネルギーですよ。「かっこいい音を鳴らすバンドだなあ」というシンプルな興奮も湧き起こる曲です。
コヤマ ありがとうございます。僕も好きなバンドからすごいエネルギーを感じてきましたから。「聴いていると居ても立ってもいられなくて、何かをしたくなる感じ」というか。
有田 僕らは3ピースだから音数の面で少ないですけど、だからこそ「演奏で負けたら終わりだ」という意識は、ずっとあるんですよね。「ライブで圧倒してこそ」というライブバンドとしての気持ちもありますし。そこは今も変わらずです。
純市 有田は理詰めでサウンドを考えるところがあって、俺は割と「これをやりたいからやる」っていう感じもあって。そういう3人それぞれのバランスで成り立っているバンドでもあるのかなと思います。
有田 ウチら、バランスは変なのかな(笑)。「感覚肌=純市」「曲を作った本人=コヤマ」「理詰め=有田」みたいなところがあるので。でも、理詰めなのにパワープレイなのが俺。それに対して純市はしなやかだったりもして。まあ、そういう3人でずっとやってきたんですけど、向上心だけはずっと変わらないですね。
純市 俺は精神的なことは分からないですけど(笑)。
コヤマ 長嶋茂雄タイプというか、「バン!とやってドン!とやってればかっこいいから、それでいいんだよ」っていうところがあるよね?
――純市さんが、いわゆるひとつの長嶋茂雄タイプ?
コヤマ はい(笑)。
純市 そうだと思います(笑)。
――でも、そういう感覚的な判断が、案外正しいことがあるのが音楽の面白さですよね。
有田 そうなんですよ。意外と最終判断は、純市なことが多いですから。
――では、タイトル曲以外の話にも移りましょう。“爽やかな逃走”と“自室内復讐論”のサウンドも抜群の切れ味ですね。“爽やかな逃走”は、「逃げる」という選択肢を示している歌詞にハッとさせられました。
コヤマ 例えば学生が精神的に追い詰められて命を絶ってしまうようなことがなぜ起こるのかを考えた時に思ったのは、他の選択肢が見えないからなんだよなと。我々が子供の頃のことを振り返っても、当時は限られた世界しか知らなかったですし。だから通っていた学校で居場所がなくなったら、「自分の居場所はこの世界にない」と思うことに繋がってしまうんだと思います。でも、一歩踏み出してみれば「世界」って無限に広がっているんですよね。「そこが全てではないんだ」ということは言いたいと常々思っていました。
――“自室内復讐論”に関してはいかがですか? 抜けのいい爽やかなサウンドと歌詞の悶々とした内容のコントラストが独特な曲ですが。
コヤマ たしかにサウンドと歌詞は対照的ですよね(笑)。この曲は過去の自分に向けた歌でもあるし、同じように思っている人への歌でもあるんです。想像の中で誰かをぶん殴って溜飲を下げるようなことが、昔の僕にはよくあったので。何か嫌なことがあってもその場では言えなくて、家に帰ってから自分の部屋の中でひたすらむかついて、ひたすら想像の中でなんとかしていたんですよね。でも、実際は言葉にしてコミュニケーションをとらないと伝わらないことがたくさんあるわけじゃないですか。だから言いたいことはシンプルです。「頭の中で思っているだけでは何にもならないんだよ」という。
――描かれている主人公は相当怒りを溜め込んでいる様子ですけど、どこか滑稽な姿として伝わってくる曲ですね。
コヤマ そういうものにしたいと思っていました。歌としてはコメディとしてのものにもしたくて。おっしゃる通り、滑稽な男の話の曲ですね。本人は相当悩んでいるわけですけど。
本当に出したいものを形にできたという感覚があるんです。他の曲もいいものができつつあるという手応えがある(コヤマ)
――この3曲がCIVILIANとしての音源の第一歩ですが、今後、どのように進んで行きたいとイメージしています?
コヤマ 今回は表題曲の“Bake no kawa”と以前からあった2曲によって、本当に出したいものを形にできたという感覚があるんです。これをもちろん一刻でも早くみなさんに聴いて頂きたいんですけど、バンドとしてそれ以外にも新しいものをたくさん作っているところなんですよ。他の曲もいいものができつつあるという手応えがあるので、もっとボリュームのある作品も出したいです。準備はいつでもできています。これからの曲も早く聴いて頂きたいですね。
有田 ライブもどんどんやりたいです。3ピースバンドとして、プラスアルファしたことができるんじゃないかと、新しい機材を試したりもしています。もう一段階進んで本当の意味で「バンドは人数じゃないんだぞ」っていうライブができるようにいろいろ進めているところです。
純市 今回の3曲はいろんな面が出ていますけど、CIVILIANとなっても根本は変わらないということも感じてもらえると思います。そういう部分がある上で「俺ら、こんなこともやっちゃうんだぜ」っていうのが、さらに出てくると思います。様々な面をどんどん見せていきたいですね。
――Lyu:Lyuとしては、8月2日のライブがラストですね。Lyu:LyuとCIVILIANの両方でステージに立つということですが。
有田 「ワンマンじゃないか!」って思うでしょうが2マンです(笑)。「Lyu:Lyu → CIVILIAN」っていうタイトルがついていますけど、ただの2マンで終わらせないように準備を進めています。
コヤマ 8月2日に来てくださる人たちは、Lyu:Lyuを本当に好きでいてくれた人たちだと思うんです。そういうみなさんに、新しいCIVILIANというバンドのライブを観て欲しいという気持ちがすごくあるんですよ。いいライブにしたいですね。
ミュージックビデオ
リリース情報
『Bake no kawa』
2016年8月3日(水)
XQBZ-1615 / ¥1,000+税
収録曲:
1.Bake no kawa (BSフジ アメリカドラマ「パーソン・オブ・インタレスト 2nd SEANSON」日本語版エンディングテーマ)
2.爽やかなな逃走
3.自室内復讐論
ライブ情報
TOUR追加公演「INCIDENT619 vol.10 “Lyu:Lyu→CIVILIAN”」
2016年8月2日(火)
会場:原宿ASTRO HALL
開場18:30 / 開演19:00
一般発売中
「NUMBER SHOT 2016」
2016年7月23日(土)
会場: 海の中海浜公演野外劇場
「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016」
2016年8月14日(日)
会場:国営ひたちなか海浜公園
「RADIO BERRY ベリテンライブ 2016 〜HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2〜 」
2016年8月23日(火)
会場:HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
提供:スマイルカンパニー
企画・制作:RO69編集部