FEELFLIP 最強アルバム完成! 「SKHAOTIC」が広げるスカの可能性に迫る

FEELFLIP

FEELFLIPがミニアルバム『I DON’T KNOW MY WAY』をリリースした……って、なんてネガティヴなタイトル! しかも今作で彼らは、結成13年目のメジャーデビューなのである。でも、実はそこには、様々な変遷を経てきたスカパンクの歴史の中で、SKHAOTIC(スカオティック)というオリジナルのジャンルを築き上げようと奮闘している彼ららしい、道なき道を突き進む決意がこもっている。スカパンクの可能性を信じ、様々な要素をぶっこんで形にしている今作は、とにかくヴァリエーション豊か。楽曲からパッケージまで、様々な工夫を凝らしており、擦り切れるまで楽しめる快作だ。TOMOYA(Vo・G)とIKKE(B)にとことん話を訊いた。

インタヴュー=高橋美穂

スカバンドって裏打ちをやっておけばいいっていう固定観念が強い。でも今回はそこに拘らずに、ある意味期待を裏切っています(TOMOYA)

――まず、このタイミングでメジャー進出となった理由から教えてください。

TOMOYA メジャーに行くっていうよりも、インディーズの時から、波長が合ったところでやるっていう感じだったので。今回は、一緒にやりたい人がいたのがメジャーだったっていう。だから、肩肘張って「メジャー行きます!」っていう感じじゃないです。今まで通りやっていいよって言われましたし。

――ああ、じゃあ満を持してメジャーに行けます!っていう心境でもなく――。

TOMOYA そうですね、あまり売れる音楽じゃないと思っていたので(笑)。でも、やりたいことをずっとやっていたら、共感してくれる人も増えたんで、メジャーに行くことが決まった時に、好きな人にだけ聴いてもらえればいいっていうんじゃなしに、いろんな人に聴いてもらうために間口を広げるキッカケにもなるかなって思えて。そういう挑戦をしたいっていうのもありました。

――間口を広げるために、曲作りも考えたりはしました?

TOMOYA そうですね。うちって、スカとカオティックを合わせたSKHAOTICっていうジャンルを形成しようとしていて。楽器もごちゃまぜで、七弦ベースやバリトンサックス、テナーサックスがいるので。

IKKE 新曲を作り始めたのが夏フェスの後くらいだったんですけど、このふたりの間で話していて、こういう曲あったらいいよねっていう案がスムーズに出てきて。だから、ライヴを想定した曲が揃ったと思います。

TOMOYA スカバンドって、裏打ちをやっておけばいいっていう固定観念が強いじゃないですか。でも今回はそこに拘らずに、やりたいことをやったんで、ある意味期待を裏切っていますね。

――だからスカバンドが好きで、スカバンドの可能性を信じているんだろうなって思えるような、幅広い楽曲が揃っていますよね。スカバンドって、こんなことができるんだぜ!って教えてくれるような。

TOMOYA 素晴らしいコメントです! まさにその通り。

――ありがとうございます(笑)。

TOMOYA 根底はスカが好きなんですけど、昔より客層が狭くなっている分、固定観念が強くなっているように見えるんで、うちらが広げられたらって。裏打ちもするし、重いのもするし、明るいのもするよ、っていう。

――裏打ちのスチャスチャ=スカじゃなく――。

TOMOYA 裏打ちで踊るんじゃなく、曲で踊ってほしいから。そういうのを狙っていきたいので、そういうフレーズ作りをしていました。

――じゃあ、ありきたりな曲になりそうになったら、軌道修正したり?

TOMOYA そうですね。何周もそれをしています。それで結局、ワンコードがカッコいい!ってなることもありますけど。シンプルに聴こえても、例えばIKKEは七弦でベースっぽくない動きを活かして、面倒臭いこともやっているので。聴きべりしないようなものを目指しています。

IKKE 聴くたびに、新しい発見はあるかもね。

七弦ベースをたまたまスタジオに持って行ったら、ずっと一緒にやっているメンバーがおびえるような反応をして(笑)(IKKE)

――ちなみに、IKKEさんはなぜ七弦ベースを弾き始めたんですか?

IKKE 元々、変形ベースが好きで、集めていたんです。サンダーバードとか。

――男の子っぽい趣味ですね(笑)。

IKKE そうですね。それで、七弦ベース入ったよって楽器屋さんに言われて、やっべえ、買います!って。うちのバンドで弾くつもりで買ったわけではなかったんですけど、たまたまスタジオに持って行ったら、ずっと一緒にやっているメンバーがおびえるような反応をして(笑)。でもそれって、面白いことだなって。メンバーがそうなるということは、お客さんはどんな反応をするんだろう!?って。うちは3ピースにサックスは2本で、スカバンドにしてはシンプルな編成で、ギターヴォーカルでもあるんで、その音楽の幅を少しでも広げられることにもなるんじゃないかなって、最初は興味本位で。もう使って4年ですけど、弾いていくうちに新しい発見が出てきて、ギターとハモらせたり、スラップを一緒にやったり、他のバンドではできないアプローチを見出すことはできてきたのかな。

――ボトムを支えるっていうベースの役割だけじゃなく、ギターに近いというか。

IKKE そうですね。

――スカバンドと七弦ベースの相性って、どう感じていますか?

IKKE 良くはないと思います、正直。

TOMOYA ははははは!

IKKE でも、可能性としてゼロではないので。

TOMOYA スカバンドって、トランペット、トロンボーン、サックスがベストだと思うんですけど、うちはサックスもテナーとバリトンで、その時点で変わっていて。だからベースも七弦でもいいんじゃない?って。

IKKE それはあるかもしれないですね。サックスはこうであれ、ベースはこうであれ、っていうスカの定義から、メンバー編成が外れているから。

TOMOYA ミュージックマンの四弦でルートを弾くっていうところからも、外れているからね。

――サックスはどうして、この2種類になったんですか?

TOMOYA いろいろメンバーチェンジをしてきて。元々はペットやトロンボーンもいたんですけど、一緒にやりたい人を探した結果、こうなったんです。テナーサックスのPONはアルトサックスをやる予定で、MOCKにテナーサックスのつもりで誘ったらバリトンがやりたいって言って持ってきて。そうしたらPONも、テナーのほうが好きだしって言いだして。個々の自我が強いので、こうなりました。

――ベースも自我で七弦になったんですよね。

IKKE みんなおかしいんですかね?(笑)。

――でも、こうして傾向を見ると低音好きというか。

TOMOYA 好きですね。

――2000年代から、スカは女の子ヴォーカルのバンドも多かったせいか、明るくて軽くてっていうイメージがあると思うんです。でも、FEELFLIPはゴリっとしているし、歌詞も男の子っぽいというか。

TOMOYA そうですね。はじめは女の子メンバーもいたんです。専門学校で作ったバンドで、FEELなのにヒールって読ませるんで、バンド名の綴りも間違っていたくらいなんです。でも、専門学校を卒業したら辞めるだろうって思っていたから。それが意外と楽しくて、続けちゃったんですよね。最初は明るい、スカの全盛期で流行った感じをやってたんですけど、どうも合わなくて。メンバーが抜けてこいつ(IKKE)と俺だけになった時、MIGHTY MIGHTY BOSSTONESやLESS THAN JAKEみたいな男臭いのやりたい、ってなって。そうしたらメンバーも男臭い奴が増えて、機材車も部室みたいなニオイになって(笑)。

――今作からも部室のニオイがすると思いました(笑)。

TOMOYA 剣道部じゃなきゃいいです、サッカー部狙いで(笑)。

――キャラとSKHAOTICっていうジャンルが嵌っていますよね。

TOMOYA  SKHAOTICって、固定観念がないから、説明するのが難しいんですけど……男臭いって今日から言います(笑)。

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