「次世代を担う気鋭のアーティストを紹介する」ことを目的に、都内を中心に展開されている、HIP LAND MUSIC主催のライヴイベント「HighApps」。たとえば前回、今年6/2に渋谷CLUB QUATTROで開催されたvol.19の出演者は、The Flickers、THE ORAL CIGARETTES、GOOD ON THE REEL、LAMP IN TERREN、赤色のグリッター、The fin.という面々。毎回、まさに今観るべき、瑞々しいアーティストたちが集う要注目のイベントだが、もちろん、単なるショウ・ケースではない。出演者同士の「自分たちこそが次世代を担うんだ」とでもいうような火花散る熱演が次々と繰り広げられる、実に濃密な空間である。
その記念すべき20回目はツアー形式のイベントとなる、「HighApps TOURS 2014」。7月1日の福岡公演を皮切りに、広島、岡山、仙台、水戸の全国5ヶ所をまわる。その全公演に出演するのが、Kidori Kidori、THE ORAL CIGARETTES、フレデリックの3バンドだ。今回、この3バンドで本ツアーのために新曲を作り披露する、セッション・バンドを結成したという。これまでに「HighApps」を含め対バン経験もあり、既に気心知れた仲である各バンドのフロントマン3人に、お互いのバンドに対する印象から、セッション・バンドについて、そしてツアーの見どころ、意気込みまでを語り合ってもらった。
(司会:塚原彩弓/撮影:上山陽介)
(※THE ORAL CIGARETTESは、ヴォーカル/ギター山中拓也の 体調不良に伴い、7/9(水)仙台、7/10(木)水戸の2公演の出演をキャンセルしました。詳しくはHighApps TOURS 2014オフィシャルサイト<http://highapps.jp/news/9999.html>をご覧ください)
1.お互いのバンドに対する素直な印象
ミハラ
ジャンルは違えど共通するところがあって。メンバーもみんな「キドリと対バンしたい」って。
マッシュ
(オーラルは)詞がいいよね。「ん?」って思うような詞の持っていき方がすごい上手
山中
「うわっ、このバンドになら負けるかも」って思ってしまったのがフレデリック。
―――
「HighApps TOURS 2014」の全公演に出演する3バンドのフロントマンであるお三方にお集まりいただいたんですが。これから一緒にツアーを回るということなので、お互いの印象みたいなところから訊いていきたいと思います。まずは、Kidori Kidoriというバンドについて。どんな印象でしょうか?
山中拓也(THE ORAL CIGARETTES/Vo・G)
Kidori Kidoriの音楽は対バンするちょっと前ぐらいから聴き始めてて。結構好きなんですよ。ジャパニーズロック感がそこまでなくて。でも、最初はめっちゃ怖かった。声掛けにいっても「あぁ」みたいな感じやって、「絶対近寄らんとこ」って思ってたんです。そしたら2回目からめっちゃやさしくて。「なに? このツンデレ」って思って(笑)。それから、面倒見のいい関西の兄貴みたいな、数いる先輩のなかでもほんと仲のいい先輩のひとりです。
マッシュ(Kidori Kidori/Vo・G)
あとでラーメン行こうか。
ミハラケンジ(フレデリック/Vo・G)
Kidori Kidoriは、イベントとかを抜いて対バンするのは4回目になるんですけど、まだ怖いイメージがあるなって(笑)。基本英詞が多いバンドで。僕らは日本語の歌詞ではあるけど、回りくどい言い方でお客さんに解釈してもらうっていうバンドなので、そういう点で、ジャンルはちょっと違えど共通するところがあったりして。メンバーもみんな「キドリと対バンしたい」って言って、今回のHighApps TOURSの前に僕らのイベントにもお誘いして。なので一緒にできるのが超楽しみです。
マッシュ
理由がわからへん。ちょっと身長高いだけやで(笑)。
―――
(笑)マッシュさん、他の2バンドについてはどうですか?
マッシュ
まずフレデリックは、兄貴以外はみんな同い年で。
マッシュ
そう。「兄貴」って僕が勝手に呼んでるんです(笑)。やっぱり同い年のバンドは意識するんですけど、いい意味で変なバンドが多くて。そのなかでもフレデリックは最高峰。家ではほんまによう聴いてますね。結構な頻度で、結構な音量でかかってる。で、オーラルは、とくに拓が「クソ生意気や」と思ってて。
―――
片や「怖い」と思ってて、片や「生意気」と思ってたと(笑)。
マッシュ
その下からくる感じが「ナメてんな、こいつ」と思って。でも会って話してるうちに「全然そんな人ではないんだ」っていうのがわかって。音楽的に素晴らしいバンドで。詞がいいよね。「ん?」って思うような詞の持っていき方がすごい上手で。あと、若手で一番ベースがうまい。僕ら最近ベースが抜けて、それから結構急なタイミングでワンマンがあって。今は藤原寛さん(andymori)にメインでサポートをお願いしてるんですけど、そのワンマンまでは2週間しかなかった。「じゃあもうひとりお願いしよう」となったとき、僕が真っ先に「あきらか(にあきら、THE ORAL CIGARETTES/B)くんがいい」って、あきらかにすぐ電話して。そしたらふたつ返事で「やります」って言っくれたんです。
―――
じゃあ、THE ORAL CIGARETTESというバンドについて、いかがですか?
ミハラ
僕らが初めて出会ったんが、今所属しているMASH A&Rっていう会社のオーディション初開催の時で、どっちも最終に残っていて。オーディションって、人生懸けてる人もいるからピリピリしてるじゃないですか。ウチらもこのオーディションで無かったら終わりかな、ぐらいの感じがあったので、結構ピリピリしてたところはあったんですけど。そのなかで唯一気兼ねなく話せたのが彼らで。「敵を作らない」「垣根がない」みたいな、オーラルのすごいいい部分が出てた。だからこうやって仲良くなれたのかなあって。
ミハラ
それこそ“大魔王参上”にしても、「大魔王参上」っていう言葉は、たぶん調べてもオーラルにしか出てこないぐらいだと思うんですよ。しかも、ひとつの言葉に対していろんな意味を持ってるのがすごくいいなって。たとえば「愛してる」でも、ひとつの意味じゃなくていろんな意味が含まれる。伏線がすごい多いバンドだから。それが、計算してるのかしてないのかわからないぐらいのいいギリギリ感っていうのがすごい好きで。バンド内でも「こういう意味があるのかなあ」とか話したりしてます。
山中
「めっちゃ歌詞見てくれてるんや。嬉しい」っていう純粋な思いだけです……恥ずかしいですね。
山中
最初はオーディションで一緒で。僕ら、自信がすごくあって。「絶対負けへんやろ」みたいな。だから、オーディションの雰囲気はめっちゃピリピリしてたんですけど、僕らだけめっちゃうるさかった。でもそのなかで「うわっ、このバンドになら負けるかも」って思ってしまったのがフレデリック。ライヴでも独特の空気感が出てるし、いざMCでしゃべったら「やっぱ独特な人なんや」みたいな感じで(笑)。自分らの世界観をちゃんと大事にしてるバンドで。そのあともフレデリックとは一緒にやる機会が増えて、今は切磋琢磨できるバンドかなって思います。「一緒に上に上がってこうぜ」って、ほんとに純粋に心から。
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