HIP LAND MUSICが主催するライヴイベントシリーズ「HighApps」。次世代を担うバンドやアーティストをいち早く紹介するイベントとして、2011年9月の初開催以来、多彩でボーダーレスなラインナップで、コンスタントに行われてきた。そして今月7月7日の高松公演を皮切りにスタートするのは、出演バンドが少しずつ入れ替わりながら、およそ1ヶ月にわたって全国9ヶ所をまわるツアー「HighApps TOURS 2015」。今回、RO69ではそのツアーに参加するバンドのフロントマン、マッシュ(Kidori Kidori/Vo・G)、シュンタロウ(Hello Sleepwalkers/Vo・G)、松岡恭子(ユナイテッドモンモンサン/Vo・G・Key)、松本大(LAMP IN TERREN/Vo・G)の4人に、互いのバンドに対する印象や「HighApps」の魅力、ライヴへの意気込みを率直に語ってもらった。バンドの歴史も編成も、そして活躍するフィールドまで異なる彼らだが、4人の言葉には、音楽やライヴに対する、ピュアで熱き思いが漲っていて、それぞれのバンド像まで浮かび上がるインタヴューになったと思う。ツアーに参戦するファンはもちろん、多くの音楽リスナーに、じっくりと読んでほしい。

司会・撮影=若田悠希

マッシュさんのことは、お兄ちゃん分だと思ってます、勝手に――松本大(LAMP IN TERREN)
嫌だなあ(笑)――マッシュ(Kidori Kidori)

──4バンドとも、それぞれ対バンしたことはあるんですよね?

シュンタロウ そうですね。

──では、最初に会った時のお互いに対する印象みたいなところから訊いていきたいんですけど。まず、誰から――。

松本 これ、駆け引きだなあ(笑)。

──そうですね(笑)。若い人からいきますか?

松本 じゃあ僕からですね(笑)。僕らはちゃんと事務所に所属して活動するようになって、まだ1年くらいなんですけど、ハロスリもキドリもユナモンも、前から名前は知ってたんですよね。だから、あっ、知ってるバンドの人たちだ、と思ってソワソワするみたいなのがあって。ハロスリは一緒にツアーも回ったし、キドリは企画にも呼んでもらって、その時にものすごい見せつけられた感じがして、僕らも負けてらんないなと思ったんですね。でも、みんなね、最初は優しく接してくれるんですよ。で、その中で唯一ずっと厳しいのが、マッシュさんなんです(笑)。

マッシュ そうだね。

──(笑)認めましたね。

松本 お兄ちゃん分だと思ってます、勝手に。

マッシュ 嫌だなあ(笑)。

松本 こういうところです(笑)。

──マッシュさんはどうですか? 

マッシュ ハロスリは、初めて一緒にやったのは名古屋でしたっけ。だいぶ前ですけど。その時の印象は、ギター3人かよっていう。

シュンタロウ 3人目のギター入った時、ギター3人かよって俺も思いました(笑)。

マッシュ っていうのと、派手な顔面に対して(笑)、すごくいいやつらで。で、松本くんには下北の弾き語りのライヴの時に、バンドじゃなくて個人に最初会って、そのあとも何かの縁やなと思って僕たちの企画に出てもらったりして、そこで初めて、あっ、バンド3人なんですねって知ったんですよ。まつきょんさんは、実は一番最初に会ってる人で。大阪にあるラジオ局主催のアマチュアのイベントで、グランプリ決めるみたいな趣旨のやつだったんですけど。あれ、まつきょんさん、勝ったんでしたっけ?

松岡 私、進みました。ひとりで。

──その時はバンドじゃなかったんですか?

松岡 そうなんですよ。バンドもやってたんですけど、ちょっと人に見せられへんくて。今よりもっと自信なかったから。で、ソロでやってる音楽は暗くて(笑)、これバンドでできひんわっていうやつをひとりでやってたんです。でも、曲が暗いから受け入れてもらうにはMCで明るさを出さなあかんから――。

マッシュ 票入れないと呪い殺すとかいう話を。

松岡 そうそう。ってか、全然明るくないやん(笑)。

──シュンタロウさんは?

シュンタロウ 僕たちのバンドはですね、壊滅的に人と話ができないんですよ。

マッシュ ははははは! でも対バンした時、ロックマンXの話をしたよね。全然音楽の話できないなぁ、ゲームの話しよう!って言って。

シュンタロウ そうやって会話の内容を覚えてくれていたのが奇跡みたいなレベルなんですけど(笑)。キドリと対バンした時は、3ピースバンドでかっこいいなみたいなところがあって。ギターが1本のバンドのかっこ良さみたいなのって、あるじゃないですか。だからすごい憧れるバンド形態なんですよね。ランプはレーベルのイベントの時に初めて会って。オープニングアクトで、歳もわかんなかったんですけど、ずいぶん落ち着いてるし堂々としていて、あとから年下だって聞いてびっくりしたのを覚えてますね。ユナモンはずっと名前は知ってたんです。で、いざ対バンってなって女性ヴォーカルなんだって知って。それで、松岡さんが僕の高校時代の友人に似てたんですよ(笑)、歌い方とかステージでの動きが。だから勝手に懐かしい感じがするというか。

松岡 私は、ハロスリは何か外国のバンドみたいやなっていう印象でした。編成も人数多いし、ライヴもすごくかっこいい。ランプは、実は4月の「HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015~」の打ち上げの時にちょっと喋ったくらいで。でも、その時のライヴをこっそり観ていて、めっちゃいい歌を歌うなと思って。うちが男でこんなバンドできたらモテるやろなみたいな、背も高いし、もう何も望むものはないだろうと、勝手に。

松本 そんなことないですよ!(笑)。

松岡 いや、ほんまやって(笑)。で、キドリはマッシュくんがさっき言っていた大阪のイベントが最初で、それからだからすごく長いんですよね、付き合いが。今、東京でこうやってインタヴューを一緒に受けてるのがすごい変な感じ(笑)。当時は、かっこいいことしてはる若いバンドがおる、みたいな印象でしたね。

──いくつの時だったんですか?

マッシュ 当時19です。

松岡 それから6、7年も経ってるのに、今も会えてて、しかも対バンできるなんてすごいなと。

ライヴを観てて感動しちゃうと、負けた感じになっちゃうんですよね。よくここまで心刺してくるなっていう――シュンタロウ(Hello Sleepwalkers)

──「HighApps」に対して、他のイベントやツアーとは違うモチベーションとか思い入れはありますか?

松岡 私はどっちかって言うと、いつもとは全然違うところでライヴをやるみたいな感覚になってますね。他のバンドのファンの方がうちらを観てどう思うんやろうとか。でも、結局同じようなことをやってるっていうのが、うちのバンドの特徴かもしれないですね。

──そのまま裸で出て勝負するみたいな?

松岡 そうですね。結局変われないっていう。

マッシュ 僕は「HighApps」って折衷的なイベントだと思うんですよね。というのも、だいぶ最初の頃に出させてもらって、その時の共演相手がavengers in sci-fiとThe Flickersと、韓国のTHE KOXXっていうバンドで。その時から既にそういう印象を持ってたんですけど、でも折衷的である必然性っていうのもあると思うので、この4バンドをしっかり観てくれるお客さんに対して、その日1日が楽しかったって思えるようなイベントにしていきたいですね。

松本 普段お世話になってる事務所のイベントなので、僕はちょっと安心していて。まあ、逆にプレッシャーでもあると思うんですけど。自分の成長の過程も見せたいなと思いますし、お互いに熱くなれるようなライヴにしたいなとも思うので。僕らのバンドはあんまりツアーってものを経験したことがないから、どのくらい自分が成長できるかとか──もしかしたら、何も成長できないのかもしれないですけど、こうやっていくつもツアーで回れるっていうのが嬉しくて。僕らは僕らにしかできないことをやるし、他のバンドも他のバンドにしかできないことをやると思うので、いいものを見せたいし、僕たちにいいもの見せてくれたらなと。

シュンタロウ リリースツアーみたいな、自分たちがバンドを誘って一緒に回るツアーとはまた違って、ごちゃまぜ感みたいのがあるイベントだと思っていて。で、僕はそれですごいバチバチしちゃうタイプなんですよね。畑は違えど、勝ちたいみたいな。そういうのが心の底のほうに渦巻いております(笑)。──みなさん、そういう気持ちないですか? 

松岡 めちゃめちゃありますよ。でも結局ね、ツアーが終わる頃にはむっちゃ好きになるんですよ、全部のバンドのこと。だけど最初はライバル心は持ってしまいますね。物販のCDの列とかうちらのバンドのとこ、全然お客さん並ばへんかったらめっちゃヘコむで!(笑)。

シュンタロウ 確かに(笑)。でもライヴを観てて感動しちゃうと、負けた感じになっちゃうんですよね。よくここまで心刺してくるなっていう。自分が感動するということは、ロジックとか何もなしに本能的な部分ですごいって認めているわけで。ひれ伏した感じがあるっていう。

松岡 そうだね。だから勝ち負け以前に、どのバンドもそのバンドらしさが際立ってくると思うから、どんなライヴを観れるんやろっていう楽しみのほうが大きいかもしれないですね。

松本 あんまり勝負って感じは自分もしないですけど、でも、感動しちゃうと負けっていう感じはちょっとわかります。でも、自分たちのバンドにできることを再認識できるような気がしますけどね。自分には何が足りなくて、自分が何をやってるかっていうのは、なんとなく見えるような気はするんですよね。

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