KREVAの「今」を徹底解剖! 4年ぶりのアルバム『嘘と煩悩』完成記念――5つの質問で解き明かす(2)

音楽で届く距離の快楽のほうが強いから。それで飛べちゃってるんだよね

④「新たに挑戦したいこと」

――新しく挑戦したいことってあります?

「う〜ん、そうだな……挑戦じゃないけど(笑)、旅行とか全然行かないから、もっと行ってもいいのかなっていう気はする」

――確かに旅行に行ってるイメージはない(笑)。

「まったくないんだよね、旅行に行きたい欲が。家族が行きたいって言うから行くけど、自分は旅行に対する欲が昔から全然なくて」

――現地に着いたらすぐ家に帰りたくなるみたいな?

「いや、そういうことでもないんだけど、カッコつけた言い方をすると、現実で行ける距離よりも、音楽で届く距離の快楽のほうが強いから。それで飛べちゃってるんだよね」

――カッコよすぎてズルいな(笑)。

「でも、ホントに。瞬時に遠くまで行けるじゃん。その距離は測れないっていうかさ」

――たとえば海外に自分の曲を届けたいという欲はないんですか?

「届いたらいいなって思うけど、そのためには英語でラップしたり歌わないといけないと思うし」

――でも、KOHHは日本語のまま海外のリスナーまで届いたじゃないですか。彼が海外でライブしたときのドキュメンタリー映像を観ていたら、現地のお客さんが日本語でヴァースを合唱していて。

「痛快だね」

――“嘘と煩悩”を海外の女の子とかが歌ってたらすげえ痛快だなって思うけど。

「歌わせたいね。でも、“嘘と煩悩”はもう英語ですら訳せないというかさ。サンスクリット語だと煩悩ってクレーシャって言うらしいね」

――へえ! KREVAと語感の相性もいいですね。

「だからインドとか東南アジアあたりを攻めたら人気が出るかも(笑)。でも、海外に関しては、俺じゃない誰かが、俺を利用して進出してくれるんじゃないかってずっと思っていて」

――というと?

「誰かにトラック提供して、それが海外でも流行るとか。それは何年も前から思っていることで。俺が英語でラップするのは無理だなって思う」

――それは英語がネイティブじゃないから?

「いや、そういうことじゃなくて、ホントに言いたいことが言えないと思う。うっすい内容になると思うよ(笑)。そうなってくると俺のトラックに誰かがラップを乗っけるとか、そういう方法論が一番の正解なのかなって気はするんだよね」

最後まで取っておいたものたちが残っていて。それが気持ちのいい存在になるみたいな

⑤「40代のKREVA」

――『嘘と煩悩』は40代最初のアルバムですけど、40代の抱負ってありますか?

「40歳になったからなのかはわからないけど、最近徐々に服とかもあんまり買わなくてなってきて。だいぶ選ぶようになってきてる。変な意味じゃなくて、全部あるっていうか。履きやすいパンツもあるし、気持ちのいい素材のTシャツもあるぞって考えると、最近は相当『おっ!』って思わないと買わなくてなってきた。私服で撮影をお願いされる機会も増えたから、たくさん買ったほうがいいとは思うんだけど、すごく選ぶようになってきたね」

――そのほうが心地いいってことなんですよね?

「たぶん。やっぱり服はめっちゃ好きなんだけどね。まあ、今でも機材を買うのはすっごい悩むのに、服だとその何倍の値段もするのにピンときたらやっぱり買っちゃうんだよね。そこは不思議。機材のほうが失敗できないって思っちゃうんだよね」

――10年前にクレさんにインタビューしたときに「30代になって変わった」って言ってたんですよ。

「言ってたね。あのときは最高に楽しかった。でも、40代になってそういう盛り上がりみたいなのはないかな。30歳になるときにすげえ盛り上がってたんだよ。29歳になりたてくらいのときから『もう30歳だから』ってずっと言っていて。29歳はすっ飛ばしてるみたいな(笑)。でも、40歳は準備もなくシュッとなった感じだね。あと、さっきの服の話とつながるけど、40歳になったら流行りが二周して、前に持っていた服が着れるという状況が出てきたの。よく流行りが一周したら着れるとか言うじゃん。そうじゃなくて、一周目はスルーしてたのに二周目にしてXXLくらいの超デカいジーパンが履けたりとか。絶対着ないと思ってたのに質がいいものだから捨てられなかったやつが残って、今着れるっていう。それって機材でも同じことが言えて」

――『嘘と煩悩』の制作でMPCを使ったみたいに。

「そうそう。二周してMPC3000だろ、みたいな。だから、機材でも『あれを取っておけばよかった!』っていうのがいっぱいあるんだよ。でも、最後まで取っておいたものたちが残っていて。それが気持ちのいい存在になるみたいな」

――それにしても、「40にして惑わず」と言いますけど、40にして『嘘と煩悩』ってヤバいですよね(笑)。

「そうだよね。『不惑? は?』って感じ(笑)」

提供:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

企画・制作:RO69編集部

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