ナノ デビュー5周年シングル第2弾! Wタイアップの最新作に込めた真実

ナノ

日本語と英語をスリリングに使い分け、エモーショナルな歌声を響かせるナノ。最新シングル『MY LIBERATION / PARAISO』は、高まる人気をさらに後押しすることになるだろう。デビュー5周年の第2弾となる今作のふたつのタイトル曲は、アニメ『チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~』のテーマソング(“MY LIBERATION”はTV版のオープニングテーマ。“PARAISO”は劇場版のエンディングテーマ)。この2曲にこめられた想いとは? 多彩なジャンルとのコラボレーションを積極的に行い、国境も飛び越えながら展開している活動の話も含めて、じっくりと語ってもらった。

インタビュー=田中大

「アメリカで育った感覚と、日本人の心を持っている」というハイブリッド感を表現したい

――アメリカ育ちなんですよね?

「はい。生まれがニューヨークで、育ったのが西海岸の地域です。大人になってから日本に来ました」

――音楽は、どういうものを聴いて育ったんですか?

「日本の音楽と出会うまでは完全に洋楽育ちです。親の影響でザ・ビートルズとかフォークを聴いていました。日本に来た時にテレビから流れるドラマとかアニメの主題歌を聴いたのが、日本の音楽に触れたきっかけなんだと思います。あと、向こうでは親戚が送ってくれた日本の番組のビデオを観てました。音楽的に最初にハマったのは『名探偵コナン』です。あのアニメは、いわゆる『アニメのために作られた主題歌』というよりも、『アーティストの音楽』っていうのがいろいろ流れていて、『かっこいい!』って思ったんですよ」

――『名探偵コナン』の主題歌だったZARDの“運命のルーレット廻して”が懐かしいと、たしかTwitterでつぶやいていましたよね?

「そうなんですよ。久しぶりに聴いてキュンとしました」

――アメリカでは、日本の音楽のCDって手に入るんですか?

「現地の紀伊国屋書店で日本のCDを買えるんですけど、高いんですよ。でも、コナンにあまりにもハマったので、思いきってサントラを買いました。嬉しくてずっと聴いてましたね。コナンの初期の主題歌に関して、自分は達人だと思ってます(笑)」

――アメリカ人のお友だちに聴かせたりも?

「聴いてもらいました。英詞の《cool and dry》っていうところだけ聴き取れたみたいで、『これはデオドラントのCMソング?』って言われたのを覚えてます(笑)」

――(笑)日本語の歌詞には、どのように向き合っていました?

「最初の頃は英語のほうが得意だったので、親に頼んで歌詞の漢字にフリガナをふってもらっていました。それをじっくり読んでましたね。そうすると、内容もじっくり入ってきて、アメリカの歌詞と全く違うなと思いました。歌詞というよりも、背景とか風景を細かに描いている美しい詩という印象だったんです。そこから『アメリカで生まれ育ったことによる感覚と、日本人としての心を持っている』という自分のハイブリッド感を、いつかミュージシャンとして表現したいという夢を持つようになりました」

――自分だからこそできる表現の可能性を、そこで見つけたわけですね。

「そうなんだと思います。住んでいた地域は白人が多くて、アジア人が少なかったんです。そのことによる葛藤もあったんですよ。そして、日本に来てみたら『日本人でもないな』ということも感じて──『自分は何なんだ?』ということを考えた時期もありました。それは書く歌詞にも繋がってることだと思います。でも、今はようやく自分が分かってきました。『自分は自分なんだな』と」

悔しさもあったんですよ。「もっとできるのに!」っていう

――日本に来てからは、いろいろオーディションを受けていたそうですね。あと、動画サイトに投稿したり。

「動画サイトに投稿するようになったのは、かなり後です。『ミュージシャンを目指したい』という理由で日本に来たので、それまではオーディションを受けたり、レッスンを受けたりしてました。でも、イマイチ自分にハマるものを感じられなかったんですよ。動画に投稿し始めたのも、何かを目指したというよりも、流行り始めてたからです。時間があるし、録音したものが埋もれてくのも嫌だなあと思って投稿したんですよね。そして、既存の曲を英訳して歌ってみたら、一気にたくさんの反応を頂きました」

――2010年の12月に投稿した英訳版の“モザイクロール”が、熱い反響を呼んだ最初だったみたいですが。

「懐かしい(笑)。そうです、“モザイクロール”でした。その後に、今一緒にやってるディレクターさんの耳にとまって、『一緒にやってみない?』って声をかけて頂いたんです」

――日本語の曲に英訳の歌詞をのせるというのは、独特の面白さがありそうですね。

「とても楽しかったです。英語ではしないような表現をあえて英語にしてみたりするのが、すごく面白くて。もともと文章を書くのも好きだったので、そういう部分を活かせた感覚がありました。でも、英訳したものを日本人が聴くとはイメージしてなかったんですよ。『日本語の歌詞のほうがいいじゃん』っていう感じなのかと思ったら、意外と日本人がたくさん聴いてくれて。新鮮なものとして受け止めて頂けたみたいです」

――オリジナルの訳詞をのせるのは、一種の二次創作ですよね。

「そうなんだと思います。自分の中では細かいプライドがあって。ただ英訳するのが目的ではなく、『違和感なく、いかに洋楽っぽく聴かせられるか』っていうのを課題にして、いつもこだわってきました。いろんな曲の英訳にチャレンジする中で、様々な音楽と出会えたのもよい経験だったと思います」

――MY FIRST STORYと度々コラボレーションをしてきたのも、いい刺激だったんじゃないですか?

「はい。MY FIRST STORYに関しては、あちらから誘って頂いたのが最初のきっかけでした。想定していなかったので、『ボーカルコラボレーションってどうなるんだろう?』と思ってたんですけど、やってみたらすごく楽しくて。自分とHiroは声質が似ているんです。自分とは違う歌い回しにも触れて、とても刺激がありました。ほかの方々と一緒にやると、知らなかったものに触れられるのが楽しいですよね。MY FIRST STORYとは野音で2マンライブもやらせて頂いたんですけど、それも新鮮でした。ほかのアーティストのファンのみなさんの前でがっつり歌うというのが初めてだったので緊張したんですけど、盛り上がりが半端なかったです。でも、悔しさもあったんですよ。『もっとできるのに!』っていう(笑)。すごく負けず嫌いなんです。子供の頃はゲームとかで負けると『もう1回! もう1回!』って延々と勝負をする感じでしたから」

――負けず嫌いは、アーティストとしてのエネルギーにもなりました?

「そうだと思います。動画を投稿するようになる前から自分の歌を録音する癖があって。何度も聴き込んで『ここはダメ。ここもダメ。もっとこうしたい』っていう自己分析をしてましたし。誰かと比べるというよりも、自分の歌を聴いて少しずつ良くしたいということをやってきました。よく歌ってたのはL'Arc~en~CielさんとかT.M.Revolutionさんですね。そういうのも、今の自分の歌に繋がってると思います」

――他のシンガーの歌を研究するのは、いろいろな発見がありそうですね。

「T.M.Revolutionさんに関しては、最初に聴いた時、『この歌、ロボットなのかな?』って思ったんですよ(笑)。デジタルサウンドの上にのってる声質が『オートチューンがかかってるのかな?』っていう印象で、アメリカ人にあまりない感じだったからだと思います。その後にライブ映像を観ても音を外すことがないですし、声量もすごいし、とにかく完璧だと感じました」

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