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    ナノ、新曲“KEMURIKUSA”インタビュー。戦うように歌い続ける姿、その胸中を語る

    ナノ、新曲“KEMURIKUSA”インタビュー。戦うように歌い続ける姿、その胸中を語る

    自分の人生は自分でしか切り拓いていけないですし、自分を救うのは自分。そういうことを考えながら作った“KEMURIKUSA”は、自分と向き合うための曲でもありました


    ――“KEMURIKUSA”は、『ケムリクサ』のために書き下ろした曲ですよね?

    「そうです。『ケムリクサ』の監督さん(『けものフレンズ』を手がけた「たつき」)からイメージを伝えていただきつつ、『ナノとしての解釈はこうだな』ということを表現した曲です」

    ――ナノさんの解釈は、どのようなものでした?

    「『ケムリクサ』は、『必死に戦ってる命』というものの大切さを描いている作品だと感じたんです。だから、この曲でキーワードにしたのは『命』。自分の人生は自分でしか切り拓いていけないですし、自分を救うのは自分。そういうことを考えながら作った“KEMURIKUSA”は、自分と向き合うための曲でもありましたね」

    ――監督さんからいただいたイメージは、どういうものだったんですか?

    「『あまり深読みをしたような歌詞ではなくて、ナノの解釈でフラットに表現してください』とおっしゃっていたんです。だから初めて『ケムリクサ』を観る人も曲を聴くことによって作品の世界観がわかって、納得できるようなものにしたいと思っていました」

    ――曲のタイトルが、すごくストレートですよね。

    「作曲をしたWEST GROUNDの意向でもあるんです。このタイトルにしたことによって、『ケムリクサ』にできるだけ寄せた曲にするという意識が、より高まりました」

    ――サウンドに関しては、シンセサイザーの華々しいサウンドが印象的です。

    「自分の曲の中でも、相当シンセサイザーの部分が厚い曲だと思います。BPMも速いので、勢いのある曲になりました。歌っているとテンションが上がります」

    ――細かい部分ですけど、この曲の《奪い去っていくんだ》が、僕はすごく好きです。ナノさんの歌は、こういう「っ」が、かっこいいんですよね。

    「WEST GROUNDも、そこが好きって言ってくれます。こういうのは、WEST GROUNDとのコラボレーションで成り立っている部分でもあるんだと思います」

    ――「ナノさんをひらがな一文字で表わしてください」と言われたら、「っ」と答えるファンは多い気がします。

    「それ、面白いですね(笑)。こういう言葉遣いをするのは、自分に言い聞かせているようなイメージもあるからなんです。歌詞はもちろん聴いてくれる人に届けたいメッセージというのもあるんですけど、歌っている時に自分でも共感できて、何かを感じることができるものでないと、自分の歌詞にはならない感覚があるんです」

    ――つまり、“KEMURIKUSA”もアニメのことを踏まえていると同時に、ご自身を鼓舞する曲でもあるということですね?

    「そうです。人生の中ではいいこともありますけど、苦しいこともたくさんあるじゃないですか。そういう苦しさが自分のバネになるので、歌詞にもそういう部分が多く出ますね。自分はポジティブな人間ですけど、こういう表現をすることによって、より燃え上がるものを感じられます」

    ――「燃え上がる」というのも、ナノさんのキーワードですね。ファンのみなさんがナノさんの歌から感じる属性は、おそらく「火」ですよ。

    「間違いなく『水』ではないですね(笑)。小さい頃から一番好きだった色が赤でしたし。アメリカに住んでいた頃、よくキャンプをしていて、家にも暖炉があったので、炎を見つめるのが、とにかく好きだったんです。自分はそういうものに魅力を感じる人間なんでしょうね」

    歌は自分にとって「癒し」というよりも「自分との戦い」っていうイメージのほうが、正直なところ大きくて。だから、歌っている時は、戦闘モードです


    ――属性が「火」のナノさんにとって、「歌う」というのは「戦う」というイメージにも結びつきますか?

    「そうですね。歌は自分にとって『癒し』というよりも『自分との戦い』っていうイメージのほうが、正直なところ大きくて。『歌=自分との勝負』というか。だから、歌っている時は、戦闘モードです。占いにはそんなに興味はないんですけど、占ってみると何度やっても『ファイター』って出てきちゃうんですよ(笑)。『ああ、自分はやっぱりファイターなんだ』と納得しているところもあります。停滞するのも流されるのも大嫌いな性格ですからね。でも、自分の中にもしかしたらあるのかもしれない、『戦い』以外のものも音楽で追求していきたい気持ちもあります。最近、バラードもどんどん好きになっていますし」

    ――普段、こうしてお会いするナノさんは、すごく穏やかですけどね。

    「音楽以外のところでは、そうなんだと思います。すごく慎重で真面目ですし。何かをする時もちゃんと計算をして、効率の良さを考えますから。電車で移動する時も、乗った車両がエスカレーターの前に来ないと嫌なんですよ(笑)」

    ――(笑)ステージに立っている時のかっこいい姿と較べると、ギャップがありますね。

    「『歌ってる時、なりたい自分になれる』っていうようなアーティストの言葉を聞くと、前までは不思議だったんです。でも、最近になって、その気持ちが少しわかるようになってきました。歌っている時は自信を持てたりしますからね。みんなのパワーのおかげで、ステージにいる時は『なんでもできる!』っていう気持ちになれるんです。それはミュージシャンという職業の特権なのかなと思っています」

    ――歌っている時のナノさんは、「凛としている」という言葉もすごく似合いますよ。和服が似合うんじゃないかなと、僕は前から思っているんですけど。

    「いつか着てみたいですね(笑)。MVとかで着たいです」

    ――『ケムリクサ』を観た人は、登場するキャラクターの「りん」に通ずるかっこよさも感じるんじゃないですかね。

    「りんちゃんも、まさにファイターですからね」

    ――“KEMURIKUSA”はアニメの『ケムリクサ』にもすごく合っていますし、ナノさんのファン層をさらに広げることに繋がりそうです。

    「そうだと嬉しいです。今までもたくさんアニメの曲を歌ってきましたし、自分を支えてくれて、道を切り拓くことに繋がったのもアニメですから」

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