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音楽が誰かのためになってほしいけど、最終的には自分が報われたい。で、「俺も報われたい!」っていう仲間を各地に作りたいから、僕らライヴの予定を入れすぎちゃうんです(笑)(内田)

──音楽にできることの限界を前提とした上で、「その中でどこまでできるか?」って考えてるほうが全然リアリティあると思うし。「俺のメロディでお前らを光の向こうへ連れて行くぜ!」なんて言えるのは、ほんの一握りのスターだけですからね。

3人 (笑)。

 あと、この曲のレコーディングに関しては、たまたまスタジオにハモンドオルガンと、フェンダーローズのエレピがあって。もともと入れるって決めてなかったんですけど、「使っちゃおう!」ってその場で使ってみたっていう感じでしたね。

内田 1st(『クアイフ』)当時は今よりもっと頑固で、「いや、こういうつもりで準備してきたんだから、絶対この形で録りたい」みたいな感じだったんですけど。いろいろライヴとか経験して……今回は初めて合宿で録ったんですけど、俺らにとって「準備してきたのと違う楽器がスタジオにある」っていうのはハプニングだったんですよ。だけど、「やってみたら?」って言われた時に――このチームが「やろう!」ってなったら、それが俺らのその時のベストだから。あの場で、いい雰囲気で、いい音をパッケージしよう!っていう気持ちになりました。そこも前回と変わったところではありますね。

 それが次の"along the coast"っていう曲にも表れてて。今までは絶対クリックを使ってレコーディングしてたんですけど――。

三輪 これはレコーディングで一番最後に録った曲なんですけど。エンジニアさんが提案してくれて。さっきの「今しかできないことを」っていう話じゃないですけど……もともと練習でもライヴでも、「クリックないと不安病」だったんですよ、僕(笑)。

 一番ビビってたもんね?(笑)。でも、それがすごくよくて。ちょっとした揺れとかが、「ああ……これがグルーヴか!」みたいな。

内田 この曲も同期を入れる予定だったんですけど、「もしかしたらないほうがいいかもな」っていう選択肢も持った上でレコーディングに行っていたので。結果的に、ピアノ/ベース/ドラムのトリオですけど、90年代USオルタナインディーの、ミネラルみたいな感じの(笑)、いい意味での汗臭さみたいなのが演奏に出てますね。

──そして最後の"lost world"へと続いていくわけですが。

 これも曲調的には壮大な曲なんですけど、最後の言葉が《探しものはなんだった?》って、解決してない!みたいな(笑)。「常識的に正しいこと」って、わりと誰でもわかってるんですけど、やっぱり何かを選択する時とか、答えに迷ったり、見失ってしまいそうになる瞬間があると思うんですよ。普通に日常生活でもあるし、バンドをやってても、試行錯誤して葛藤して、見失いそうになる瞬間があって。だけど、まだ「生まれて死ぬまでの間」で、私たちは生きてるんで。間違いも踏まえて、よりよい方向に生きていけたらなっていう。

──この曲が最後に来てるっていうのも、「フルアルバム的な世界観のある作品にしたい」っていう視点があったからこそだろうし。バンドに対しての思い入れも、アルバムに対しての思い入れも、いろんなものが必然的に重なり合って生まれた作品なんだなっていうのが伝わってきました。

 嬉しいです。

──7月からは『organism』を携えてツアーがスタートしますけども、結構な本数ですよね。

内田 7月中に15本ぐらい回ります。

 今日も千葉でライヴなんですけど、6日連続ライヴの3日目で(笑)。わりと体力あるほうで、4日連続ライヴとかは結構あったんですけど、6日連続は初なんで……喉に気をつけようと思います(笑)。

内田 今回、作品の内容的に、完全にみんなガッツポーズしてる感じではない曲が揃ったと思うんですよ。「これ、聴いた人は救われるのか?」って(笑)。でも、僕は曲を作る時に、誰かのために歌ったとしても、最終的には「自分が言いたかったから出ちゃった」みたいな感じだし。重いメッセージを入れて音楽をやるってことは――誰かのためになってはほしいけど、最終的には自分が報われたいんだなって。で、それによって「俺もそれで報われたいよ!」って思える仲間を、今回のツアーでも各地に作っていきたいなと思ってますね。だから……僕らはライヴの予定を入れすぎちゃうんです(笑)。

提供:KAIROS

企画・制作:RO69編集部

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